2002年3月15日号

ヨーロッパ・カルト事情(2)

緊急報告
フランス・セクト対策関係省庁本部・ヴィヴィアン本部長の記者会見談話

広岡裕児(国際ジャーナリスト・パリ在住)

 二月十九日、恒例のフランス・セクト対策関係省庁本部の年次報告書発表記者会見が行われた。アラン・ヴィヴィアン本部長の談話をご紹介したい。
 まず、昨年は「重大な年であった」とアブー・ピカール法成立について触れ、争点となった社団解散と精神操作罪について、同本部が内閣や大統領が一方的に決定する行政解散ではなく司法解散とすること、新しい罪の新設ではなく全国人権諮問委員会の答申を尊重して脆弱さの濫用罪の改定とすることを強く主張したことを明らかにした。
 その理由は、前者は「たとえしかるべき重大な理由があろうとも弁護する自由は持たなければならない」、後者は「強い信念と、各個人の独自の選択を越えて信念を濫用することの間の境を画定することが難しい」、それに欧州人権協定との調和である。
 各国は同法に高い関心をもち「いくつかの国では規定の一部を導入しようとしている」。
 いっぽうセクト側はヨーロッパ評議会での反対決議をもくろんだ。しかしその調査委には、昨年十一月「この法律は自由の圧殺ではない、ヨーロッパ人権宣言を尊重している」とする専門家報告が出されている。
 またエホバの証人はヨーロッパ人権裁判所に同法およびフランス国会の一連の報告書は基本的人権侵害であると提訴したが、これも十一月に判決が出、フランス国の主張が全面的に認められて却下された。
 ついで「セクトの態度振舞いを憂慮する者を黙らせようと」従来の誹謗中傷やニセ記者による身辺調査など「黒いキャンペーン」に加えて、サブリミナルメッセージの使用、頻繁な訴訟、著作権の濫用といった新しい手段が使われていると指摘した。
 訴訟は勝つのは二の次で、最高裁判決までの長い期間自分たちに都合のいいように事実を歪めて宣伝するのが目的で「司法を自分達の道具としてつかうこの方法は糾弾されるべきである」。
 著作権の濫用についても、教義の要素や表現を著作権で保護しセクトの事前了解なしに引用をできなくすることは「まさに表現の自由への重大な侵害であるというほかない」と語勢を強めた。
 国際関係では、さる六月パリで外務省主催で持つ欧州連合加盟国・加盟候補国と未加盟隣国二十三か国の関係者会議が行われ、各国とも台頭に懸念を表明していたと報告。
 三年来フランスを強く攻撃していたアメリカの連邦報告書は「驚いたことに」トーンダウンし、フランスに尊重されるべき宗教運動と問題にされるべき集団を区別するように求めるにとどまった。
 「この部分を読んで我々は喜んだ。これこそ我々が行っていることだからである」
 もっとも、アメリカはまだサイエントロジー、ラエリアン、太陽寺院などをフランスに少数宗教として公認しろと求めている。
 「この点については、フランスは政府も世論も絶対に妥協することはない」
 そして海外県海外領土、セクトがつくる政党への助成問題、医療衛生関係でのセクト的逸脱について調査担当者の発言をまじえて紹介したあと、最後にフランスにおけるセクトの現勢についてふれた。
 「統一協会のような団体とずっと害の少ないものを混同してはならない」という同本部の考え方を確認しつつ、総数四〇万人程で漸減傾向にあり、その半数は「サイエントロジーと同一視はできない」が、医療問題、宗教信念を変える自由への無理解、未成年者を束縛する狭小な教育などでなんども明確に批判されているエホバの証人である。
 いずれにしろ「減少傾向にあるということは、セクタリズムが前よりも有害でなくなったということではない。彼らは保護してくれる国に本部をおいて領土なき国家を作っている。莫大な予算があり隠れたあるいは表に出た活発な影響網を持っている」。

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