2002-9-15

印刷費・広告費の巨大金脈が大手メディアの
創価学会迎合を生む

乙骨正生

新聞メディアを中心に 目に余るマスコミの創価学会迎合姿勢

 本誌九月一日号の「信濃町探偵団」にも記載されているが、八月十九日付「毎日新聞」朝刊の「発言席」に、創価学会の池田大作名誉会長の「憲法に『環境権』の規定を」と題する署名記事が掲載された。
 昨年五月二十三日付「朝日新聞」朝刊の「私の視点」欄に、「教育基本法見直すより大いに生かせ」と題する署名記事を掲載して以来、池田氏は「讀賣新聞」、「毎日新聞」、「産経新聞」と相次いで四大紙のインタビュー記事に登場。全国各地の地方紙にも次々と署名記事を掲載している。
 こうした新聞メディアによる池田氏の署名記事やインタビュー記事の掲載を創価学会は、「創価学会の正義」「池田大作氏の正義」を社会一般が理解し始めた証拠だと大喧伝している。
 例えば、昨年五月度の本部幹部会の席上、秋谷栄之助会長は次のように語っている。
 「これまで、(池田)先生に対するこうした世界からの顕彰や、創価学会・SGIの平和・文化・教育・人権の運動について、国内のマスコミでは、なかなか報道されませんでした。それが21世紀の開幕とともに、大阪新聞、富山新聞、千葉日報をはじめとする、全国40を超える地方紙が、先生の名誉称号の受章やアメリカ創価大学の開学などについて、全面カラーで特集記事を掲載するなど、大きな変化が起こっております。(中略)
 新聞だけでなく、テレビでも、先生の写真展やアニメによる童話を放映する番組の数が、各地で増えてきています。
 13日『母の日』には、歌手の島倉千代子さんが、先生の詩『母に最敬礼』を朗読する30分の特別番組『母に贈る詩』が、埼玉、千葉、栃木の各県でテレビ放映され、大きな反響を呼びました。
 時代は大きく変わりつつあります。学会の正義が、あらゆる分野で理解されつつあります。私たちはさらに自信を持って、民衆の大地に根ざした創価の運動を、力強く広げてまいろうではございませんか」
 同様に参議院選挙を目前に控えた六月度の本部幹部会では、塚田順郎中部長が、中部のマスコミ各社が相次いで創価学会礼賛報道を繰り返していることを、こう自慢げに話している。
 「本年、中部では、岐阜テレビと三重テレビが『自然との対話―池田大作写真展』の模様を放映。さらに中日新聞をはじめ、岐阜新聞、名古屋タイムズ、東愛知新聞の各社が、計6回にわたり、池田先生の平和行動を大きく掲載いたしました。特に全面カラー見開きで2回の報道をした東愛知新聞の地元・豊橋では、その反響は予想を大きく上回るものでした。
 長年、この地方で教育行政に携わってきた地元の名士は、池田先生がトインビー博士等と対談していることを高く評価して『これだけの著名な人々と対談集を編む池田名誉会長はすごい方だ。日本では右に出る者はいない』と興奮気味に語っていたそうです。
 今まさに、先生の思想と行動が、21世紀の潮流として大きく位置づけれられる環境が整い、中部は飛躍の時を迎えています。各地のメンバーは、新聞を片手に学会の正義を語るなど、自信と誇りに燃え威風堂々の戦いを進め(ている)」
 そして昨年の掉尾を飾る十二月の本部幹部会では、正木正明東京長が「朝日新聞」「讀賣新聞」「毎日新聞」「産経新聞」の各紙に池田氏が登場したことの意義を次のようにアピールした。
 「この下半期、東京の環境が大きく変わったのは、池田先生が、讀賣、朝日、毎日、産経という日本の四大紙に、次々とインタビュー等で登場してくださったことであります。テロ事件が勃発して以来、日本の全宗教者の中で、だれよりも早く、問題の本質を抉り出され、今後の学会の路線についても明快に語ってくださったのであります。
 先生自ら、『対話拡大の年』の言論戦の先駆を切ってくださっている。その感動が全東京の同志に波動を起こしました。皆、先生の記事が掲載されるたびに、それを持って、友人との対話に打って出ました。学会理解は大きく拡大し、聖教啓蒙、折伏・弘教の快進撃につながったのであります。
 その結果、聖教新聞の啓蒙においては12月、未曾有の増部を達成。また弘教においては、全国の先陣をいく結果を示すことができました」
 要するに一連の池田氏の署名記事やインタビュー記事は、創価学会の教勢拡大に大いに役立ったというのである。換言するならば、新聞各紙は池田氏の主張、言い分を無批判に唯々諾々と掲載したことで、結果的に特定の宗教団体・宗教政治集団である創価学会の勢力拡大に協力したということである。
 こうした新聞メディアを中心とするマスコミの創価学会迎合の姿勢は、今年に入ってもなんら変わってはいない。具体的には、元日早々に「埼玉新聞」が「二十一世紀は女性の世紀」と題する池田氏の随想を「特別寄稿」として掲載。同様に「大阪新聞」も新年合併号で「創価学会特別記念展特集」を紙面一面を使って大々的に報道。さらには山形県の「米沢日報」も元日付紙面で二ページを使ってヨーロッパSGI(創価学会インタナショナル)を紹介する記事を掲載した。
 また三日には「中国新聞」が、「広島の心と平和教育」と題した池田氏の「特別寄稿」を掲載している。これ以後も、本特集における川崎氏の論考で指摘されているように、日中国交正常化三十周年の今年、日中国交回復の立て役者であると自己PRする池田氏は、全国各地の複数の地方紙に「日中国交正常化30周年に寄せて」と題する署名記事を掲載させている。
 こうした流れを受けて青年部首脳らは、「日本が変わった」「時代が変わった」と、二月二十二日付「聖教新聞」に掲載された「青年の世紀の開幕を語る」と題する座談会記事で大喜びしている。

 佐藤(総合青年部長)この2月、『静岡新聞』に『日中国交正常化30周年に寄せて――アジアの未来と日本』と題して池田先生の寄稿文が掲載されましたね。
 迫本(青年部長)2月1日から3日まで、3回の連載でしたね。
 杉山(男子部長)今年に入っても、先生の寄稿や、学会の平和、文化の活動、創価大学の活動を紹介する記事が、続々と新聞に掲載され、またテレビでも放送されていますね。
 中野(青年部総主事)時代が一歩、前進した。大きく変わった。
 迫本 先月も、『埼玉新聞』『米沢日報』が1月1日付で掲載したほか、『中国新聞』『大阪新聞』『奈良新聞』『山口新聞』『沖縄タイムス』『神奈川新聞』『下野新聞』『南紀州新聞』『名古屋タイムズ』『日刊県民福井』が、大きく掲載している。
 館野(副女子部長)新しい時代ですね!
 中野 日本全体が変わりつつある証拠だ。
 佐藤 新聞を読まれた著名な芸術家が『池田先生の寄稿を読み、心が和みました。まさに蘭言です。麗しき蘭の香気のように、かぐわしくて素晴らしい文章でした。2002年の冒頭を飾る素晴らしい蘭言です。一気に拝読しました』と感嘆されていたようですね。
 迫本 いや、広島の著名な大学教授も、中国新聞を読まれて、『一貫して平和問題に取り組んでこられた池田名誉会長が、平和の原点を確認されつつ、日本の役割を世界に向けて発信されていることに、心強く思いました』と賞賛されていた。
 林(関西女子部長)『皆が「新しい哲学的ビジョン」を、「行動する思想家」を待望しはじめた』という声もありますね」

 マスコミ界に巨額の金を注ぎ込む

 では、本当に日本の社会は創価学会の正義を認めはじめたのだろうか。青年部の諸君には悪いが、答えはノーである。
 たしかに多くの新聞メディアをはじめ、テレビ、ラジオ、あるいは一部の雑誌ジャーナリズムが創価学会に迎合する姿勢を見せているが、それは株価が九千円を割るという深刻な不況の影響を受けて、経営が悪化している多くのマスコミ媒体が、年間二千億円とも三千億円ともいわれる巨額の財務(寄付)を集める創価学会の強大な金力の前に、膝を屈しているだけなのだ。
 広告の出稿、紙面の買いとり、新聞購読、池田本の出版、機関紙誌の印刷と、創価学会は毎年、少なく見積もっても数十億円という巨額の金をマスコミ界にジャブジャブと注ぎ込んでいる。その"威光"の前に、多くのマスコミ媒体は、文字通り「金縛り」になっているのである。
 では、具体的に創価学会はマスコミ界にどの程度の金を注ぎ込んでいるのか。本稿では、創価学会のマスコミへの資金提供のうち、機関紙印刷に焦点をしぼってその金額を推定するとともに、創価学会の「金縛り」になっている日本のマスコミ界の現状を指摘してみたい。
 周知のように創価学会には「聖教新聞」をはじめ、「創価新報」、「大白蓮華」「グラフSGI」などの複数の機関紙誌がある。このうち最大の発行部数を誇る「聖教新聞」は日刊で公称五百五十万部。「讀賣新聞」「朝日新聞」に次ぐ日本で第三位の発行部数を誇る全国紙である。「創価新報」は月二回発行の青年部の機関誌で発行部数はおよそ百五十万部。そして「大白蓮華」は月刊の教学理論誌で発行部数は約二百万部である。
 巨大な資金力を持つ創価学会にとって、こうした機関紙誌類を印刷する印刷所を立ち上げることなど朝飯前のこと。だが、創価学会は印刷所を持とうとはしない。創価学会の元顧問弁護士山崎正友氏によれば、創価学会は以前、自前の印刷所を建設する計画を立てたがすぐに取り止めにしたという。その理由は、自前の印刷所を持つよりも、全国紙、地方紙の印刷所(系列を含む)に機関紙誌の印刷を発注することによって、マスコミ界に影響力を確保することの方が、はるかにメリットが大きいと判断されたからだという。
 宗教法人・創価学会は会計を公開していないため、「聖教新聞」の印刷代金は分からない。しかし、創価学会を母体とする公明党は、国費から政党助成金を受ける政党であるため、収支は政治資金収支報告書によって明らかになっている。
 その公明党は機関紙として日刊の「公明新聞」を発行している。「公明新聞」の発行部数は約二百万部といわれているが、公明党はその印刷を「聖教新聞」同様、全国各地の印刷所に発注している。
 では、「公明新聞」を印刷しているのは、いかなる印刷所であり、その印刷代金はいかほどなのか。その一覧を示したのが「表1」である。これは公明党の平成十二年度政治資金収支報告書に記載された「公明新聞」の印刷代金一覧の写しである。
 北は毎日新聞北海道支社から南は南日本新聞オフセット輪転、鹿児島新報社まで十六社。印刷代金は締めて十億五千万円に達する。  このうち、もっとも大量に「公明新聞」を印刷しているのが毎日新聞社の子会社である東日印刷で、印刷代金は毎月二千万円強、総額で二億九千三百万円余の支払いを受けている。東北地方をカバーする東日オフセット、毎日新聞北海道支社を合わせると毎日新聞社系の印刷所は、「公明新聞」の印刷で年間総額約三億七千万円もの印刷代金を受け取っていることが分かる。
 そして二番目に支払いが多いのが、朝日新聞社の系列会社である日刊オフセット。大阪府豊中市にある日刊オフセットは、毎月一千万円強、総額で一億三千六百万円余の支払いを受けている。
 こうした数字を見ると、昨年、全国紙大手四紙のトップを切って池田氏の署名記事を「朝日新聞」が掲載し、昨年に続いて今年も「毎日新聞」が池田氏の署名記事を掲載したこともむべなるかなという気がしないでもない。
 この他、四国新聞社、中国新聞社、西日本新聞印刷、静岡新聞社、そして神奈川新聞社の子会社であるかなしんオフセット、名古屋タイムズなども数千万円単位の印刷代金を受け取っている。先に引用した創価学会の各種幹部の発言には、多くの創価学会・池田礼賛記事を掲載したマスコミ媒体が挙げられているが、その中には、「公明新聞」の印刷を受注している企業が複数含まれていることが分かる。

 印刷各社への支払いは数十億円から百億円

印刷所一覧ところで、先述のように政党助成金を受け取っている公明党と異なり、宗教法人である創価学会は、宗教法人の所轄庁である文部科学省に収支の報告を行うとともに、収益会計については税務申告しているが、その詳細な内容についてはいっさい公表を拒んでいる。したがって「聖教新聞」をどの印刷所で何部刷っているかはまったく公表されていない。しかし、先頃、筆者は「聖教新聞」の印刷を受注している印刷所の一覧表を入手した(右図)。

 それによると、まず北海道で「聖教新聞」を印刷しているのは、毎日新聞北海道支社、毎日新聞旭川支社、十勝毎日新聞社、辻商事の四社。そして東北地方は、東日オフセット、岩手日々新聞社、福島民報社の三社。関東は東日印刷、毎日新聞北関東コア、東京メディア制作の三社。信越は信濃毎日新聞社と新潟日報の二社。東海はかなしんオフセット、静岡新聞社、名古屋タイムズ印刷の三社。北陸は北國新聞社の子会社の(株)ショセキ、関西は毎日新聞社の系列の高速オフセット、南大阪オール、日刊オフセット、神戸新聞総合印刷、京都新聞社の五社。中国は中国新聞社系列の中国印刷と中国新聞福山制作センター、山陰中央新報社の三社。四国は四国新聞社、愛媛新聞社、高知新聞社系列の高知印刷の三社。九州は西日本新聞印刷、長崎新聞社、熊本日日新聞社、鹿児島新報社、南日本新聞オフセット、南海日日新聞社の六社。そして沖縄は池宮商会となっている。
 このうち「公明新聞」も刷っているのは、毎日北海道、東日オフセット、岩手日日新聞社、福島民報社、東日印刷、かなしんオフセット、静岡新聞社、名古屋タイムズ、日刊オフセット、神戸新聞総合印刷、中国新聞社、四国新聞社、西日本新聞印刷、南日本新聞オフセット輪転、鹿児島新報社であり、これは「表1」記載の十六社中、十五社を占めている。  要するに、「公明新聞」を刷っている各新聞社の系列はすべて「聖教新聞」も印刷しているのである。
 これらの「聖教新聞」「公明新聞」を印刷する印刷所のうち、四国新聞社の平井卓志社主・取締役会長、名古屋タイムズの加藤延之理事社長、東日印刷の國保仁代表取締役会長、木村栄作代表取締役社長、高速オフセットの佐野巌相談役、山野壽彦代表取締役社長の六氏には、昨秋、「活字文化への貢献を讃え、言論・出版界の代表」として「創価大学最高栄誉賞」が与えられている。授賞理由の「活字文化への貢献」の意味が、「聖教新聞」「公明新聞」の印刷を意味することは明らかである。
 では、「聖教新聞」の印刷代金はどのくらいになるのだろうか。「聖教新聞」の発行部数は約五百五十万部で、約二百万部の「公明新聞」の二、七五倍、そして紙面は「公明新聞」が八ページ建てであるの対して、「聖教新聞」は十二ページ建てと二十五パーセント増しである。
 カラー印刷や写真の多寡などで印刷経費は異なるだろうし、部数の配分比率も分からないので一概には言えないが、「公明新聞」の印刷代金を単純に二、七五倍し、二十五パーセントをプラスする形で計算すると、東日印刷の「聖教新聞」の印刷代金は約十億三千万円となる。これに「公明新聞」の印刷代金約三億円を加えると、東日印刷は「聖教新聞」と「公明新聞」の印刷代金だけで年間約十三億円の金を創価学会・公明党から受け取っていると推定できる。同様に朝日系列の日刊オフセットは約六億円、そして讀賣新聞社も系列下にある東京メディア制作と南大阪オールで「聖教新聞」を刷っており、相応の印刷代金を受け取っているとみることができる。
 もっとも印刷代金はこれに止まらない。創価学会には他にも「創価新報」や「高校新報」「大白蓮華」「グラフSGI」などの機関紙誌がある。こうして見てくると、創価学会の印刷各社への支払いの総額は少なく見積もっても数十億円。あるいは百億円を超えている可能性もある。
 この少なく見積もっても数十億円にのぼるであろう印刷代金の他に創価学会は、『新・人間革命』をはじめとする池田氏の著作本や聖教新聞社の書籍広告、「大白蓮華」や「グラフSGI」、さらには外郭企業である潮出版社や第三文明社が発行する「潮」や「第三文明」「灯台」「パンプキン」などの広告を大量に出稿している。特に、池田本の広告は「讀賣新聞」「朝日新聞」「毎日新聞」「産経新聞」の四大紙から地方紙、さらにはスポーツ紙、夕刊紙にまで及んでいる。その広告代金の総額も機関紙誌の印刷代金同様、少なく見積もっても数十億円にのぼるとものと推定される。
 その結果、多くのマスコミ媒体が創価学会の膝下に屈している。そうした場面を象徴したのが、昨年一月二十四日、東京のホテルニューオータニで催された「聖教新聞」の創刊五十周年記念パーティだった。同パーティには政界、官界、マスコミ界、経済界、学界等の各界から千七百人もの来賓が参加したが、その席上、マスコミ界を代表して挨拶した毎日新聞社の斎藤明社長は次のように述べている。
 「創刊五十周年、おめでとうございます。新聞は二十世紀の大衆社会が生み出した文化ともいわれます。戦争の世紀から決別し『平和の世紀』を築くことが新聞に課せられた使命です。『人間主義』を掲げて大きな節目の紙齢を刻まれた貴紙の一段のご繁栄を祈念いたします」  これに先立つちょうど一年前の平成十二年一月二十四日、池田氏は「聖教新聞」本社で東日印刷の國保社長らの表敬訪問を受け、歓談したが、その際、次のような和歌を東日首脳に贈っている。
 「東日と 家族の如き 聖教は 共に栄えむ 歴史を築きて」  「聖教新聞」と「公明新聞」をもっとも多く刷っている東日印刷は、「聖教新聞」と一蓮托生・運命共同体という意味であろう。運命共同体である以上、東日の生殺与奪の権限は池田氏が握っているということにもなる。
 そしていま、多くのマスコミ媒体の創価学会との関係、距離感は、この東日と聖教の関係と同質のものへと変質しつつある。それが秋谷会長ら創価学会首脳の言う、「時代が変わった」ということだとすれば、日本の言論界はお先真っ暗といわざるをえない。

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