2002-4-15

創価学会"他教団騙し"の構造
"政治的スタンス"で決める他教団への融和or攻撃

本誌編集部

総選挙対策だった 他宗融和の"お詫び"行脚

 一九九六年(平成七年)十一月十七日、創価学会インタナショナル(SGI)は、第二十回の総会を開き、「SGI憲章」の制定を発表した。その第七項に次のような一文がある。
 「SGIは仏法の寛容の精神を根本に、他の宗教を尊重して、人類の基本的問題について対話し、その解決のために協力していく」

 要するに、これまでは「邪宗・邪教」として排撃してきた諸宗教を尊重し、対話をしていくというのである。
 こうした方針のもと創価学会は、平成七年十一月以降、関西広報局文化部長の秋庭洋氏が、天台宗や高野山真言宗、浄土真宗本願寺派、日蓮宗、天理教や立正佼成会、PL教団、円応教、金光教泉尾教会、新宗連などの諸教団等を訪問。従来、諸教団を「邪宗・邪教」と排撃してきたのは、日蓮正宗の教義に拘束されていたからであり、「大変申し訳なかった」と謝罪。「今後は、こうした姿勢はとらないので、誼を通じていきたい」と、"お詫び"行脚し、他宗教に対する姿勢をこれまでの対決路線から対話路線、協調路線へと変更することを強調した。

 こうした創価学会の意向を受けて、宗教界の中にも善隣教の力久隆久教主など創価学会と積極的に友好関係を結ぶべきだと主張する宗教者もおり、宗教法人法の改正に際して創価学会と連係したり、阪神淡路大震災をめぐる新宗連主催のシンポジウムに創価学会が出席するなど、一部宗教者と創価学会の協調の動きも散見される。

 もっとも、こうした創価学会の狙いが、平成八年十月に行われた衆議院総選挙の対策であったことはすでに明白となっている。自・公連立体制の構築された今日からでは想像もつかないことだが、新進党VS自民党の激しい選挙戦となった平成八年の総選挙で、創価学会は政権奪還を企図して熾烈な選挙戦を展開し、創価学会・公明党の政権参画を危惧し、反創価学会・新進党の立場をとった自民党の有力な応援団である諸教団を懐柔することに腐心した。当時の創価学会にとって、敵の応援団を懐柔することはもっとも重要な戦略だったのである。また、当時は宗教法人法改正の議論も山場を迎えており、他教団を巻き込んで宗教法人法の改正に反対する必要に創価学会は迫られていた。

 要するに創価学会の「他宗教融和路線」とは、平成八年の選挙で創価学会が全面支援する新進党を政権につかせるための、きわめてマキャベリスティックな戦略の所産として実施されたのである。    

自・公連立発足後より露骨になった
マキャベリスティックな姿勢

 そうした創価学会の姿勢は、平成十一年十月の自・公連立政権成立以後、いっそうはっきりする。周知のように伝統、新興を問わず日本の教団の多くは従来、自民党を支持してきた。だが、自民党が創価学会を母体とする公明党と連立政権を組むにいたり、全日本仏教会や立正佼成会が自・公連立反対の姿勢を明確にするなど、多くの教団、宗教者が自・公連立に反発、不快感を示した。

 日本の宗教界、仏教界を敵にまわすことは自・公連立にとって好ましくない。そこで創価学会・公明党は再び、宗教界に対する懐柔工作を試みる。  まずは、河上覃雄代議士ら公明党幹部が全日本仏教会や新宗連に挨拶に出向(全日本仏教会は拒否)。同時期に鬼籍に入った立正佼成会の庭野日敬開祖の葬儀には、西口浩広報室長(副会長)、正木正明役員室長(副会長)が列席。その際、創価学会はなんと会長就任に際して「西の天理教・東の立正佼成会を討て」と立正佼成会の撲滅を言明していた池田大作名誉会長の献花まで打診したという(立正佼成会側が拒否したといわれる)。

 だが、それから半年後の平成十二年六月の総選挙を前に、立正佼成会が反自・公連立の姿勢を鮮明にし、従来、支援していた候補全員に自・公連立についてのアンケートを実施、自・公連立に賛成する候補は支援しないとの姿勢を打ち出すや、創価学会は激しく立正佼成会を非難。昨夏の参議院選挙でも、反自・公連立の姿勢を堅持し、創価学会が不倶戴天の敵と位置づける白川勝彦氏を支援するや、創価学会は青年部に対して立正佼成会に対する猛攻撃を指示している。

 例えば、青年部の新人事が発表された平成十三年八月十七日付の「聖教新聞」の一面名物コラム「寸鉄」。この「寸鉄」は池田大作氏が手を入れることでも知られているが、そこで次のように立正佼成会を攻撃した。
 「反学会のゴロツキ政党を応援した佼成会。折伏の猛攻撃開始。偉大な男子部」
 これ以後、「聖教新聞」には立正佼成会に対する熾烈な攻撃の言辞、また日蓮正宗と立正佼成会を結びつけて非難する記事が頻繁に掲載されるようになる。

 まずは八月二十四日付「聖教新聞」に掲載された「21世紀の『創価の時代』」と題する秋谷会長らによる座談会記事。そこでは、「邪悪を攻め抜いてこそ正義!」「追撃の手を緩めるな!」「『宗教弾圧』の元代議士一派 立正佼成会の応援も空しく 全員落選」などの見出しのもと、「完全に見かけ倒しだった佼成会」などと、立正佼成会を激しく罵っている。
 同様に二十七日付の「21世紀の『創価の時代』」では、「日顕が立正佼成会と野合 悪は臆病ゆえに群れたがる」「佼成会との野合・結託は大失敗」と、日蓮正宗と立正佼成会があたかも連携して「新党・自由と希望」を応援し、創価学会の前に敗れ去ったかのような誹謗中傷記事を掲載している。

 さらには前述の「寸鉄」にも、次のような下品きわまりない文字が羅列されていた。  「身延や佼成会にぺこぺこする日顕。他宗の路地裏を、うろつくドブ鼠か」  「身延にこび、佼成会にへつらう日顕。なんと汚らしい悪臭・腐臭の法主よ」
 平成七年には"お詫び"行脚し、今後の融和・協調を打診。また、平成十一年十月の庭野開祖の葬儀に参列し、その理由を「庭野先生の御業績に敬意を表するため」(西口広報室長)としていた創価学会は、立正佼成会が「政教分離」を遵守するとの姿勢に基づき、自・公連立に反対する姿勢を明らかにするや、たちまち立正佼成会に対して牙をむいた。

 一連のマキャベリスティックな創価学会の動きは、創価学会の他教団に対する姿勢が極めて政治的なものであり、直接的には公明党の政権参画に対してどのような姿勢とるかに置かれていることを示している。創価学会・公明党に敵対せず、公明党の政権参画を容認する教団はいい教団であり、これに反対する教団は、撲滅・攻撃の対象になるということである。その創価学会は、本誌の特集に明らかなように平成十二年以後、日蓮宗や天台宗の僧侶(大正大学講師)をだまくらかす、極めて欺瞞的な手法で自らの正当性の証明や日蓮正宗攻撃に利用している。
 このうち、日蓮宗や天台宗の僧侶を利用しての欺瞞的な手法は、本誌の特集に明らかだが、こうした記事と軌を一にする形で創価学会は、浄土真宗の僧侶が創価の正義を認識して、創価学会に入会したとの記事を、直営企業である第三文明社発行の月刊誌「第三文明」で報じている。

「浄土真宗の僧侶も入会した」と
大々的にアピール

 その内容は、浄土真宗の寺院子弟で、大谷大学大学院を卒業した青年僧侶H氏が、大阪・富田林の創価学会組織の男子部ニューリーダー白根信盛氏の折伏により創価学会に入会。創価学会の活動家となって家族や檀家の「全員折伏」を決意しているというもの。 同記事では、檀家への影響そして家庭と浄土真宗本山との影響を考え、H氏の実名や実家の寺院名などは明かされていない。だが、富田林を所轄する浄土真宗大谷派、本願寺派、興正寺派の各派の宗門関係者は、そうした事実は確認されていないという。
 果たして浄土真宗の青年僧侶が創価学会に入会したのかどうか、その真偽は分からない。日蓮宗の僧侶が入会したとのキャンペーンの"ウソ八百"から推するならば、浄土真宗の青年僧侶が入会したとの記事にも大いに疑問符がつく。だが、日蓮宗に次いで浄土真宗の青年僧侶が入会したとのアピールは、創価学会が聖・俗両界で覇権を握るための阻害要因となる教団に対して、政権与党の強みを背景に、再び、牙を向こうとしていることの証左ともいえる。

 個人のプライバシーや人権の保護を名目に、言論の自由を抑圧することを狙う個人情報保護法案や人権救済法の成立に血道をあげている創価学会と公明党。言論の自由の抑圧の次に来るのが、信教の自由の侵害ではないとの保証は残念ながらない。

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