2002-3-15

「創価教育学会は反戦団体」の虚偽

乙骨正生(ジャーナリスト)

軍事教練を高く評価 | 第五回総会でも体制翼賛 | 法華経を戦争の指導理念に、と訴える

昨今、地方ローカル局が「教育は子どもの幸福のために〜牧口常三郎が目指したもの〜」なる特別番組を相次いで放送している。「聖教新聞」によればその内容は「番組では、軍国主義の中、『国家のため』ではなく『子どもの幸福のため』の教育を目指した牧口初代会長の生涯と思想を紹介。当時から半世紀以上を経た今、ブラジルなど国内外で、その教育学説が評価され、実践される模様を伝えた」(二・二六付け)というもので、創価教育学会の会長である牧口を、「子どもの幸福を最第一と考える教育界の偉人」と宣揚する内容となっているようだ。
 こうした動きと連動するかのように、創価学会の外郭(直営)出版社である第三文明社や潮出版社からも牧口を「軍国主義に抗った偉人」「子どもの幸福を第一とした教育界の偉人」だとアピールするいわゆる「ちょうちん本」が出されている。
 だが、牧口が軍国主義に抗い、「国家」よりも「個」である「子どもの幸福を最第一」とする教育者であったかといえば、決してそんなことはない。

軍事教練を高く評価

なぜなら牧口は、その教育方法に特殊な着想はもっていたものの、国家、軍国主義体制との関係で言えば、「忠君愛国」「盡忠報国」を子どもに植え付けることを推進する体制迎合の一般的な教育者に過ぎなかったからである。
 実例をあげよう。牧口は二・二六事件のあった昭和十一年に、「『光瑞縦横談』と教育・宗教革命」という論文を執筆しているが、そこで文部省が教育現場において「軍事教練」を義務づけたことを、「大でき」だと次のように高く評価している事実がある。
 「最近、文部省が軍事訓練を課したるは、近ごろの大できである。……何という、今の非常国家に適切の忠告であろう」
 また、これに先立つ大正元年には、「教授の統合中心としての郷土科研究」という論文の中で、子どもに「忠君愛国」「盡忠報国」の概念を徹底してたたき込むべきだとこう主張している。
 「わが国においては国および国の首長たる天皇は、まったく同心一体と申すべきで、君に忠を尽くすのはすなわち国を愛する所以であるということを十分子供に了解させておかなければなりません」
 ここには「国」に優先して「個」を大事にし、国家よりも子どもの幸せを優先するという考えは微塵もみられない。まして「軍事教練」の義務化を賞賛する牧口に、軍国主義に反対する思想があったとはとうてい言えない。
 こうした牧口の宣揚と軌を一にする形で創価学会は、牧口が率いた戦前の創価教育学会は、「侵略戦争・軍国主義」に抵抗した「反戦平和」団体であり、それゆえ創価教育学会の系譜を継ぐ創価学会は、戦前・戦後を通じ一貫して平和主義の旗を振ってきた「日本最大の平和勢力」などと自己宣伝を繰り広げている。
例えば平成十一年五月発行のSGI(創価学会インタナショナル)グラフ掲載の、「1945 初代・2代会長は、軍部国家主義と戦った」との見出しがついた記事には次のようにある。
 「国家が強権で民衆をおさえこんだ時代。創価学会牧口(常三郎)初代会長は、国家主義にかたよらない、世界市民の育成を訴えた。侵略戦争に反対し、信教の自由のために苦闘した。そのため、牧口会長と戸田(城外)理事長(当時)は不当にも逮捕され投獄(1943年)。牧口会長は1944年11月18日、獄中に殉じ、1945年7月3日、戸田理事長は衰弱した体で豊多摩刑務所を出獄。壊滅させられた創価学会の再建に歩み出した」
 たしかに牧口や戸田が不敬罪や治安維持法違反で逮捕されたことは事実だが、その理由を「国家主義にかたよらない、世界市民の育成を訴えた。侵略戦争に反対し、信教の自由のために苦闘した」ことによると主張することは、真っ赤なウソであり、歴史の偽造以外のなにものでもない。
 こうした「反戦平和」団体を装う創価学会の歴史偽造については、拙著『公明党=創価学会の野望』(かもがわ出版)で詳述しているので、興味のある方はご一読いただきたいが、ここではそのエッセンスを記載して創価学会の欺瞞的体質を明らかにしてみたい。
 筆者の手元には、創価教育学会の実態を伝えるいくつかの資料がある。その一つは総会の模様を記録した「大善生活実証録――総会記録」である。
 創価教育学会は戦火が太平洋の各地にまで拡大した昭和十七年五月十七日に神田・一橋にある教育会館で第四回総会を開催し、その模様を「大善生活実証録――総会記録」と題して出版しているのだが、そこには創価教育学会の__真実_≠フ姿が、臨場感豊かに記載されている。
 総会はまず宮城遥拝・黙祷で始まるが、続いて野島辰次理事の次のような「開会の辞」に移る。
 「大東亜戦開始以来の戦果は、法華経の護持国家なればこそであります。昨夜のラヂオ放送の如き余裕下に、今日総会を開くのは感激の極みであります」
 大東亜戦争(太平洋戦争)で赫々たる戦果があがっているのは、日本が法華経の護持の国であればこそであり、勝利の戦果を聞く時に総会を開催することは感激の極みだというのである。宮城遥拝に次いで首脳幹部が大東亜戦争の戦果を賞賛する。ここには「侵略戦争に反対」したという事実も、「軍国主義に抵抗」した事実も全く見あたらない。あるのは「侵略戦争」に迎合協力する体制翼賛団体としての創価教育学会の姿だけである。
 そうした実態は、これ以後の各幹部の発言にも端的に示されている。
 例えば、午後の部では、出征中の会員の来信の紹介に続いて戸田理事長が、次のような「生活改善同盟の歌(幹部会員四海民蔵作詩)」を披露している。
 「男だ 日本人だ 日蓮正宗の信者だ 栄光ある生活改善同盟の戦士だ 
 大君のかがやく御稜威 八紘一宇肇国の御理想 今 全く地球を包む」
 「大君の御稜威 八紘一宇肇国の御理想 今 全く地球を包む」とは、大東亜共栄圏の建設を目指した軍部政府のアピールそのものである。
さらには、岩崎洋三理事の次のようなあいさつ、牧口会長による「聖上の万歳を三唱し奉って」第四回総会は幕を閉じている。
 「我々は大東亜戦争を戦ひ取っている、日本帝国の銃後の一員として課せられた一大使命を発見する者であります。産業報国が然り、職域奉公が然り貯金報国が然り簡素の生活が然り、而し斯る一通りの事に依って銃後の使命足れりとする創価教育学会の会員が万一ありとすればそは誤れるの甚しき物であります。然らば我等の使命は何ぞや。折伏之のみであります。折伏に於て此の幸福の生活を世間に延しひろめて、不安と疑と嫉妬と排斥ときづなと権謀の世界の消へ去った時こそ、たとへ何年でも大東亜共栄圏を戦ひ取る迄がんばり抜く銃後が築かれるのである」
 八紘一宇の思想に基づく大東亜共栄圏を建設するために、通り一遍の協力のみならず、「大東亜共栄圏を戦ひ取る迄がんばり抜」ける優秀なる「銃後の民」を築くのが、創価教育学会員の一大使命だというのである。
 創価教育学会の実態が、創価学会の言う「侵略戦争に反対」する「反戦・平和の団体」ではなく、軍国主義体制に迎合する体制翼賛団体であったことは、第四回総会での一連の幹部発言に照らせば明瞭である。

(文中敬称略)

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