2004-3-1
特集/「池田提言」と「秋谷インタビュー」を嗤う

池田学会の本音は、反戦も平和も「天下取り」のため

ジャーナリスト 乙骨正生

 創価学会はその前身である創価教育学会を、牧口常三郎会長が獄死、戸田城外理事長をはじめとする幹部20数名が投獄されたことをもって、戦争や軍国主義国家に抗った平和団体、反戦団体だったと主張。その系譜を引く創価学会は「日本最大の平和勢力」などと喧伝している。
 だが、事実は全く異なり、創価教育学会が戦争の遂行を支持する体制翼賛団体だったことは、本誌の平成14年3月15日号の特集記事「『創価教育学会は反戦団体』の虚偽」で指摘した通りである。
 そもそも「看板に偽りあり」なのだから、池田大作名誉会長が、毎年、創価学会インタナショナル(SGI)の設立記念日だとしている1月26日に発表する平和や国際政治に関する「記念提言」に、“実”などあろうはずもない。そこにあるのは「世界の平和指導者・池田大作」を演出するための単なる修辞の繰り返しだけである。
 ましてや池田氏の著作物を「代作」するセクションである特別書籍部の責任者だった原島嵩元教学部長は、池田氏の名で出されている著作物は、「提言」や「講演」も含めてほとんどすべて「大作の代作グループ」の手によるものであることを明らかにしている。1月26日に発表された「内なる精神革命の万波を」なる大仰な見出しのつけられた「SGIの日記念提言」も、当然、「代作グループ」よって作成されたものであろう。

 大甘の「AERA」インタビュー

 また、この池田提言と前後して、朝日新聞社発行の週刊誌「AERA(アエラ)」が、秋谷栄之助会長のインタビュー記事を掲載した。「イラクと『自公』創価学会の本音」と題し、「9年ぶりのアエラ単独会見」と銘打った秋谷インタビューだが、これもまた秋谷氏の発言を唯々諾々と紹介するだけの代物。おそらく朝日新聞社は、「平和団体」を標榜する連立与党公明党の母体である創価学会の会長から自衛隊のイラク派兵を問題視する言質を取るつもりだったのだろうが、「人道復興支援」や「国際貢献」を盾にして簡単にいなされてしまった。
 しかもこの「AERA」インタビューが大甘であることは、インタビューの中で秋谷氏が、民主党の菅代表が創価学会エイリアン説を主張し、日本の政治が創価学会によって支配されてはならないと批判していることに対して、
 「宗教団体が政治を動かしているみたいな言い方は、宗教に対する認識が極めて乏しい。われわれはそんな意図はいささかも持っていないし、大変な誤解だと思います。一つの支援団体として党に意見を言い、注文することは当然だと思うんです。その後で党がどう判断するかということ。学会の言いなりになっているということではない。学会が政権のすべてを動かしているように言われるのは筋が違うと思いますね」
 などと反論していることについて、なんら具体的に検証していないことからも明白である。例えば秋谷氏は平成3年12月の創価学会の県長会議で、「自民党が二百何人おろうと、公明党の参議院ですべての重要法案が決まる。そのバックに創価学会がある。日本の命運を決するのは学会」と発言しているのだから、その真意を質すべきだろう。
 「公明党は創価学会によって支配されている」という事実を、婉曲な表現ながらも明らかにした竹入義勝元公明党委員長の「政界回顧録」を掲載したのは「朝日新聞」だったはず。なんとも情けないインタビューである。
 ところでその「朝日新聞」の大先輩で、創価学会担当だった央忠邦氏が昭和44年に執筆し、出版した『池田大作論』という一書がある。著者あとがきに「私は幸運な男で、__日本一の単一組織_≠フ指導者と、しばしば会える機会に恵まれた。最高幹部とも、いつでも会える知遇を得ていた」と書かれているように、池田氏に密着し、その「一人の人間の想像を絶する闘いの記録」をまとめたものだという、いわゆる典型的な池田大作礼讃本である。
その中に創価学会なかんずく池田氏が考える「戦争反対=平和」がいかなるものであるかを示す絶好の池田講演が掲載されているので紹介しよう。その講演とは昭和41年の創価学会本部総会でなされたものである。
 この年の本部総会で池田氏は、創価学会の「広宣流布=天下取り」戦略としての「七つの鐘」構想を発表。昭和54年もしくは昭和65年(1990年)を目標に広宣流布の総仕上げを図ることを強調し、1000万世帯を優に超える勢力の確立や、公明党の伸張などに言及したのだが、そこに次のような注目すべき発言がある。
 

 “本音”露わな池田講演

 「これはあくまで話として聞いていただきたいのですが、一千五百万世帯になれば、いまの日本の世帯数は二千四百万世帯ぐらいですから、ゆうに全世帯の半分を占めることになります。そうなれば、釈尊の__舎衛の三億(筆者注・国民の3分の1が入信するとの比喩)_≠フ方程式は、事実上間違いなく、実現することは明らかです。その時まで、お互いに人生を楽しみながら、個人の幸福と社会の繁栄を一致させる新社会建設を目指して、一歩一歩着実に前進したいと思いますけれどもいかがでしょうか(拍手)。
 またそのころには全世界に、一国残らず会館ならびに寺院を建設しようではありませんか(拍手)。この話もベトナム戦争で攪乱されたり、日本にクーデターが起きたり、アメリカと中共が戦争したり、という緊急事態が起これば、全部計画を変更しなければなりません。でありますから、絶対に戦争を起こさせてはならない」
 池田氏の言わんとしていることは明白である。2400万世帯の日本の全世帯の半分以上を学会員で占めれば、当然のことながら公明党単独政権が誕生し、日本は創価学会が支配する国になる。文字通り天下が取れるのである。しかしその計画も戦争が起これば全部変更しなければならなくなる。だから、「絶対に戦争を起こさせてはならない」というのである。
 ここには池田氏ならびに創価学会の剥き出しの「本音」が示されている。
 創価学会は、昭和45年に一大社会問題となった言論出版妨害事件で地に墜ちた池田氏のイメージを回復するために、以後、しきりに「平和」や「文化」「教育」を前面に出し、創価学会のイメージアップを図ってきた。そうした中で活用されたのが、「生命尊厳」や「生存の権利」、「国連中心主義」などの概念である。
 平成5年にアメリカのサンタモニカ市にある世界池田講堂で行われたアメリカ・関西合同総会の席上、池田氏は当時のクリントン米国大統領を引き合いに出し、「クリントン、あのように口をうまく、人を騙して」いけと指導したが、「SGIの日記念提言」や秋谷インタビューは、そうした世間を欺き、騙すためのプロパガンダに過ぎないのである。

乙骨正生(おっこつ・まさお)フリージャーナリスト。1955年生まれ。創価中学・創価大学法学部卒。宗教・政治・社会分野などを取材、週刊誌・月刊誌を中心に執筆。著書に『怪死』(教育資料出版会)『公明党=創価学会の野望』『公明党=創価学会の真実』(かもがわ出版)など。

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