特集/創価学会との距離感示した「3つの党大会」

“自・公融合”を印象づけた自民党大会

ジャーナリスト 乙骨正生

 1月16日、東京都港区にある新高輪プリンスホテルで自民党の第70回定期党大会が開催された。これには連立を組む公明党の神崎武法代表も来賓として出席、挨拶した。その要旨を1月17日付「公明新聞」は次のように報じている。
 「一、本日は第70回自民党大会の開催、まことにおめでとうございます。先の衆院選において、自民、公明両党で絶対安定多数の議席を確保できたのは、両党の信頼関係、協力関係がますます深まってきたことの結果だと思う。
 一、公明党が連立政権に入って4年が過ぎ、5年目の節目を迎える。当初、連立に加わる際は、『自民党と、くっついて公明党は消滅する』と言われた。ところが、最近、野党第一党(民主党)の党首(菅直人代表)は、公明党を(米SF映画の)エイリアンになぞらえ、公明党が自民党をコントロールしている、と暴言を吐いている。天下の自民党に対し失礼千万な言だと思う。
 一、これは、自民党と公明党の関係が成熟し、小泉首相の下でさまざまな改革が進んでいることに対する驚きと嫉妬の念ではないか。そこに自・公を分断しようという意図を感じる。ある有名な哲学者の言葉に『嫉妬は驚きの裏返しだ』とある。内面の驚きを隠そうとして、かえって人を陥れ安心を得ようとする。それが嫉妬だ、と言っている。まさにその通りだと思う。『自公分断作戦』に紛動されることなく、連携を密にして今後とも進んでまいりたい。(中略)
 一、しかし、自公両党の関係は、マンネリ化や、馴れに終始してもいけない。自民党は、国という大きな視点で物事を考えている。一方、公明党は生活者の視点、一人ひとりの、個人の立場に立った視点で物事を考えている。両党には視点の差がある。したがって、両党が切磋琢磨し、政策のすり合わせを真剣に行うことによって、一つひとつの課題を解決していくことが極めて重要だ。
 一、今年の夏に予定されている参院選は、自公両党が協力関係を深めることによって、ともに勝利できるよう頑張ってまいりたい」

 相互に選挙支援を感謝

 もっとも1月27日付「自由民主」によれば、自民党大会での神崎代表の挨拶はより慇懃だったようだ。そうした部分を紹介しよう。
 「(昨秋の衆院選において)とくに小泉総裁、安倍幹事長をはじめ、自民党の先生方にはわが党の候補の応援に来ていただき、本当にありがとうございました」
 「小泉総裁のもと、自由民主党がますます発展されることをお祈りいたします」
 こうした神崎代表の挨拶を受けて、自民党の小泉総裁(首相)も、先の衆院選において「公明党、自民党で是非とも安定多数の議席を獲得させていただきたいと訴えて、選挙を戦」った結果、「公明党としっかりとした安定勢力を確保することができました」と、自・公両党で衆院の安定多数を確保できたことを嘉する発言を行った。
 本誌の平成15年12月1日号の特集で指摘されているように、自民党はいまや創価学会票なくしては衆参両院での多数を確保することはできず、政権を維持することはできない。その意味で創価学会・公明党は政権の生命維持装置そのものであり、両党の融合は急速に進んでいる。民主党の菅代表を激しく非難し、自・公のいっそうの連携をよびかける神崎代表の発言は、そうした創価学会・公明党と自民党との関係を象徴するものといえる。同様に1月9日に行われた公明党東京都本部の賀詞交換会での安倍晋三自民党幹事長の発言も、両者の融合ぶりを端的に示している。
 「昨年の衆院選で、公明党の皆さまには、本当に力強く自民党の候補者をご指導いただき、厚く御礼を申し上げます。今回の東京における衆院選で、与党が13勝12敗と勝ち越すことができたのは、まさに連立の成果ではないかと重ねて御礼を申し上げます。
 今、自民党と公明党との連立政権は、すでに4年が経過しました。だんだん成熟期に近づきつつあると思っています。(自公連立は)多くの成果を挙げていますが、小泉改革が、これほど大きな成果を挙げたのも、私は連立政権だからこそだと思います。自民党だけでは浸透しない政策が、公明党の皆さんの支援があることで、痛みを伴う改革も多くの国民のご理解とご支援をいただくことができると思っています。
 イラク問題に関しては、(中略)公明党にも大変な努力、ご理解をいただき、今般、陸上自衛隊の先遣隊を派遣することになりました。神崎代表はご自身で、サマワに赴き、現地を視察されましたが、先遣隊の報告を十分に吟味しながら、首相に決断をしていただかなければならないと考えています。
 今年は参院選があります。しっかりと両党が選挙協力を固めながら勝ち抜き、豊かな日本、誇れる日本を作っていきたいと考えています。この1年間、公明党都本部のますますのご発展、皆さまのご健勝を心からご祈念します」(1月10日付「公明新聞」)

 名簿提出の圧力

 そうした自民党と公明党・創価学会の融合が急速に進んでいる事実は、「読売新聞」の特集記事「政治の現場 自公連立」でも指摘されている。そこでは「なし崩しに進む融合」との見出しのもと、衆院福岡9区で復活当選した自民党の三原朝彦氏の例などを取り上げ、選挙の現場で「なし崩しに既成事実化していく『自公融合』」の実態を報じている。例えば連載第1回には次のようにある。
 「三原は、昨年十一月の衆院選に福岡九区から出馬し、前回を約一万七千票上回る約九万九千票を獲得した。小選挙区では民主党候補に約三千五百票差で競り負けたが、重複立候補した比例選で復活当選した。約七年ぶりの国政復帰の原動力は、公明党の選挙協力だった。公明党は、三原陣営の要請に応じて選挙区選で三万票を支援する見返りに、比例選での『バーター協力』を持ちかけた。
 〈自民党公認候補でありながら、政党名を書く比例選で、支持者に公明党への投票を求める〉
 冷静に考えれば、それは政党政治にとって『禁じ手』のはずだ。が、二回連続で落選し、もう後がない三原は、公明党の申し出を受け入れた。
 『公明党』と『三原朝彦』から一文字ずつ取って明朝会。『(当選して)いつの日か明るい朝を迎えたい』(征彦)という思いを込めた明朝会の名簿は、三原が公明党に差し出した“協力の証”だった」(1月12日付)
 この明朝会の名簿を手に公明党そして創価学会は支援拡大に奔走する。「主客転倒」と題した連載の第3回(1月14日付)には次のような事実が指摘されている。
 「積み上がる会員名簿をもとに、公明党・創価学会は、目を見張る動員力で戸別訪問を展開した。
 『三原事務所の紹介で参りました。三原を勝たせてください。比例選は公明党にお願いします』
 『比例選は公明党』を確約しない人の名簿は、三原事務所に突き返され、三原陣営がもう一度、協力を頼み込んだ。主客転倒とすら映る明朝会の動きに、自民党福岡県連の幹部は『三原陣営は創価学会に牛耳られている』と憤った」
 こうした「比例は公明」との票のバーターと、自民党候補に対する後援会名簿や支援企業名簿の提出要請は全国で行われたという。連載第6回では、岡山5区で当選した自民党の村田吉隆代議士が、創価学会岡山文化会館に呼び出され、創価学会幹部から選挙支援の見返りに後援会名簿や支援企業の名簿提出を求められ、提出を拒否すると「あなたは非協力的ですね。選挙協力をどう考えているんですか」と圧力をかけられた事実が記されている。
 「人物本位」と比例区800万票の集票力を背景に恫喝と懐柔を繰り返す創価学会。こうした軒を借りて母屋を取るかのような動きを続ける創価学会・公明党の動きに対し、村田代議士のように不快感をもつ自民党議員や地方幹部もいないではない。だが、そうした声は少数に止まっており、大勢は創価学会と融合する方向へと進んでいる。一昨年11月の公明党大会で創価学会名誉会長の池田大作氏の撮影した写真を絶賛した小泉総裁の下で、自民党と創価学会・公明党の融合は加速度的に進んでいることを、1月16日の自民党党大会はあらためて示したと言えるだろう。
 なお、蛇足だが自・公連立成立時に、特定の宗教団体である創価学会を母体とする公明党の政権入りに反対の意思を表明した多くの宗教団体が、自民党大会の席上、友好団体として表彰されている。この表彰は多分に儀礼的なものであり、表彰された教団の中には、立正佼成会や新生佛教教団のように、昨年の総選挙時には政権交代を掲げ自・公連立に反対した民主党の候補を支援した教団もある。しかし、多くの教団は、自・公の融合が進んでいる政治状況下にあってもなんらの政治的検討もなく、唯々諾々と自民党の表彰に応じている。果たして宗教者の政治意識はどうあるべきなのか。将来、自・公連立が歴史となった時点で、自・公政権下での宗教者、宗教団体の動静を検証する上での参考として、以下に総選挙で民主党候補を支援した上記2教団を除く、表彰を受けた各教団名を列記しておく。
 神道政治連盟、全日本仏教会、天台宗、高野山真言宗、真言宗智山派、真言宗豊山派、浄土宗、浄土真宗本願寺派、浄土真宗大谷派、臨済宗妙心寺派、曹洞宗、日蓮宗、インナートリップ・イデオローグ・リサーチ・センター(霊友会増永派)、MOAインターナショナル(世界救世教)、崇教真光、松緑神道大和山

乙骨正生(おっこつ・まさお)フリージャーナリスト。1955年生まれ。創価中学・創価大学法学部卒。宗教・政治・社会分野などを取材、週刊誌・月刊誌を中心に執筆。著書に『怪死』(教育資料出版会)『公明党=創価学会の野望』『公明党=創価学会の真実』(かもがわ出版)など。

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