2003年8月1日号

特集/創価学会インタナショナル(SGI)―ある断面
「創価学会インタナショナル(SGI)誕生に関する隠したい事実

乙骨正生

 今年4月28日、創価学会は、機関紙「聖教新聞」に、創価学会インタナショナル(SGI)組織が、世界185カ国・地域に及んでいることを次のようにアピールした。
 「SGI185カ国 ここに世界広布の縮図!」(H15・4・28付「聖教新聞」)
 これ以後も、7月3日にはギリシャSGIがギリシャ政府から文化宗教法人として正式に認可されたとか、7月7日にはインドネシアSGIが、第1回平和文化祭を開催し、これにインドネシア政府の文化観光大臣や教育大臣が出席したと「聖教新聞」で大々的に報じるなど、SGIが着実に発展している旨、喧伝している。
 そのSGIは、世界各国の創価学会組織で構成される任意団体であり、形式的には日本の創価学会も海外諸国の組織同様、その傘下に位置づけられているが、実質的にSGIを統括、運営しているのは日本の創価学会に他ならない。

 高邁な理念謳ったSGI憲章

 では、そのSGIの設立目的とは何か。
 創価学会は、平成7年11月にSGIの行動原理を定めたSGI憲章を制定したことを発表したが、それを見るとSGIは、「基本的人権」や「信教の自由」を尊重し、「平和・文化・教育」などの分野で人類社会へ貢献する団体であると規定されている。その「前文」には次のようにある。
 「我ら創価学会インタナショナル(以下、『SGI』という)の全ての構成団体及び構成員は、仏法を基調とする、平和・文化・教育への貢献を目指していく」
 同様に10カ条からなる「目的及び原則」では、「基本的人権」や「信教の自由を守る」ことをこう高らかに謳いあげている。
 「1、SGIは生命尊厳の仏法を基調に、全人類の平和・文化・教育に貢献する
 2、SGIは『世界市民の理念』に基づき、いかなる人間も差別することなく基本的人権を守る。
 3、SGIは『信教の自由』を尊重し、これを守り抜く。
 7、SGIは仏法の寛容の精神を根本に、他の宗教を尊重して、人類の基本的問題について対話し、その解決のために協力していく」
 だが、実際のSGIは、こうした高邁な目的・理念に反して、「邪教・日顕宗撲滅」を叫ぶ創価学会の指示のもと、日蓮正宗を撲滅するとして謀略的な手法で日蓮正宗の海外布教権を侵害していることは、SGIフィリピンの理事長が、虚偽の事実をもって日蓮正宗僧侶の入国阻止と、国外追放を画策していた事実を報じた、本誌3月1日号掲載の特集記事「フィリピン出入国管理局長の命令書で明らかになった創価学会の入国妨害工作」の通りである。
 そこには、「仏法の寛容な精神を根本に、他の宗教を尊重」したり、「いかなる人間も差別することなく基本的人権を守る」という姿勢は見られない。
 もっともSGI発足の目的、経緯を検証するならば、「三つ子の魂百まで」ではないが、SGIが高邁な理念・目的を掲げる一方で、平然と「信教の自由」を侵害する悪質な人権侵害行為を繰り広げるのも、けだし当然ということが分かる。
 なぜなら、そもそもSGIとは、創価学会が日蓮正宗を支配・統括するための手段・戦略の一環として、設立されたものということができるからである。その経緯を振り返ってみよう。

 僧侶の任命権・海外布教権の譲渡を要求

 昭和49年4月30日、東京・向島にある日蓮正宗寺院・常泉寺で、日蓮正宗と創価学会の連絡協議会が開催された。連絡協議会とは、日蓮正宗と創価学会に関わる懸案事項について検討する会議で、日蓮正宗側から宗務総監以下の宗務院執行部、そして創価学会からは池田会長以下の首脳が出席する、文字通り日蓮正宗と創価学会に関する最高会議である。
 日蓮正宗と創価学会の最高首脳が膝詰めで協議する場は、僧俗和合を建前とする以上、本来は和やかに行われるはずのものであった。だが昭和49年4月30日に行われた連絡協議会は、きわめて緊迫した空気に包まれていた。というのもこの日、創価学会から日蓮正宗側に提示された「連絡会議議題」には、日蓮正宗と創価学会の関係を大きく左右する次のような重大な案件が記載されていたからである。そこには次のような「議題」が並んでいた。
 1、日蓮正宗国際センター
 2、日蓮正宗インターナショナル
 3、ミニスターの件
 4、海外寺院の件
 5、本山土地の問題
 6、正本堂記念資料館、休憩所
 7、天母山郷土資料館
 8、総坊売店拡張計画
 9、浣衣堂の使用
 10、正本堂久遠の灯
 11、正本堂手荷物預り所
 12、正本堂電気設備関係保守契約
 13、妙蓮寺記念碑の件
 このうち問題となったのは、海外布教に関する1〜4の「議題」だった。というのもそこには、およそ日蓮正宗側が飲めるはずもない次のような創価学会側の要求が記載されていたからである。

1、恣蓮正宗国際センター
 7月に発足したい。
 役員人事、別紙の通り。
 世界布教に関する事項は、この国際センター会長である池田会長に依存する書面を頂きたい。
(別紙)財団法人国際センター
 会長   池田先生  名誉総裁 日達猊下
 理事長  森田一哉  参与   早瀬日慈
 専務理事 原田稔    々   藤本栄道
 常務理事 細谷昭    々   北条浩
 理事   桐村泰二   々   和泉覚
      竹内重郎   々   原島嵩
      八矢英世   々   持永利之
      羽吹栞
      森田修平
      八尋頼雄
 監事   小野康
      森謙
     
2、日蓮正宗インターナショナル
 第一回国際会議、来年1月 グワム島で開く。
 事務局をロサンゼルス(エチワンダ)におく。
 
3、ミニスターの件
 原案(書状)提出
 日蓮正宗国際センター会長 来年発表してからは、日蓮正宗インターナショナル会長より授与

4、海外寺院の件
 サンフランシスコ(西岸山 妙信寺)
 シカゴ     (大米山 妙行寺)
 いずれもコミュニティセンターの一部を以て充当する。
 
 一読して、日蓮正宗を信徒団体である創価学会の風下に置こうと企図していることが読みとれる。なかんずく1項にある「世界布教に関する事項は、この国際センター会長である池田会長に依存する書面を頂きたい」や、3項の「ミニスター(僧侶)を日蓮正宗インターナショナル会長より授与」とは、日蓮正宗の海外布教権や僧侶の任命権を池田会長が掌握するということであり、実質的に創価学会が日蓮正宗を支配、統括することを意味している。
 こうした理不尽な要求を日蓮正宗側が受け入れるはずもない。5月4日、早瀬日慈総監ら宗務院幹部から連絡会議時の報告を受けた当時の日蓮正宗法主・細井日達上人は、国際センター構想について、「日蓮正宗から切り離してやるならよい。(そうでなければ)海外住職も引き上げる」と強く反発。5月9日に北条副会長、山崎正友創価学会顧問弁護士が、日蓮正宗総本山・大石寺に登山し、日達上人にお目通りした際、日達上人は、国際センター問題について、創価学会の姿勢を厳しく批判したのだった。

 宗門支配の長期戦略を策定

 これに対して北条副会長は、翌5月10日、池田会長に宛てて次のような「報告書」を提出している。
 「本山の件
 九日の本山お目通り際、猊下の話は大へんひどいものでした。之が猊下かと疑うほど、また信心そのものを疑いたくなるほどひどいものでした。……広布の上に重大障害となりまた宗門僧侶等の問題の一切の根源がここから出ていると感じました」
 「(池田)先生が前々から見抜いておられた本質がさらけ出されたように思いますが、あまりにひどいので、かえすがえす残念です。……学会が生きぬいてゆく為には、相手に信心がないなら、うまく使ってゆくか、徹底的に戦って、学会の旗を守って死んでゆくか、いずれにせよ、先生の最大のご苦心にふれる思いで決意を固めました」
 要するに、日蓮正宗を支配するための戦略を、日達上人に拒否され、批判されたことに腹を立て、「信心がない」「ひどい」などと日達上人を非難しているのである。
 ここで北条副会長は、「うまく使ってゆくか、徹底的に戦って」と、宗門支配と独立の二つの路線に言及しているが、これから1カ月半ほど後の6月18日付の北条副会長の池田会長宛「報告書」には、当面は日蓮正宗と関係を保っていくが、時が来たら別れるとの創価学会の本音が露骨に表れている。
 「宗門の件 
 かねて先生の仰言っておられた通り、私たちの到底想像することの出来ない、みにくい姿であります。いずれにしても私たちは断固たたかいぬく決心です」
 「4 状況判断 
 長期的に見れば、うまくわかれる以外にないと思う。本質は、カソリックとプロテスタントのような違いである。
 戦術的には、すぐ決裂状態となることは避けて、早瀬理事とのパイプ(山友、八尋が話し易い関係にあります)を太くするとか、当面、ニ(注=猊下の略)の異常心理をしずめ、あたらしい進路を開きたいと考えます。
 但し、やる時がきたら、徹底的に戦いたいと思います」
 こうした北条副会長の発言のベースになっていたのが、当時、創価学会の顧問弁護士を務めていた山崎正友氏と、現在も創価学会の中枢に位置する八尋頼雄弁護士(副会長)がまとめた「本山について」と題する報告書記載の中・長期的な戦略だった。
 そこには次のようにある。
 「V、今後の私達の作業の進め方について。
 本山の問題については、ほぼ全容をつかみましたが、今後どのように処理して行くかについて二とおり考えられます。
 一つは、本山とはいずれ関係を清算せざるを得ないから学会に火の粉がふりかからない範囲で、つまり向こう三年間の安全確保をはかり、その間、学会との関係はいつでも清算できるようにしておくという方法であり、いま一つは、長期にわたる本山管理の仕掛けを今やっておいて背後を固めるという方法です。
 本山管理に介入することは、火中の栗をひろう結果になりかねない危険が多分にあります。しかし、私の考えでは、本山、正宗は、党や大学、あるいは、民音以上に、学会にとっては、存在価値のある外郭と思われ、これを安定的に引きつけておくことは、広布戦略の上で欠かせない要素ではないかと思われます。こうした観点から、後者の路線ですすむしかないように思われます」
 その上で、日蓮正宗を支配、管理するための施策として、
 ク本山事務機構(法人事務、経理事務)の実質的支配
 ケ財政面の支配(学会依存度を高める)
 コ渉外面の支配
 サ信者に対する統率権の支配(宗制・宗規における法華講総講頭の権限の確立、海外布教権の確立等)
 シ墓地、典礼の執行権の移譲
 ス総代による末寺支配
 を列挙。「これらのことは、機会をとらえながら、さりげなく行うことが必要であり、今回のところはク、ケ、コを確立し、更にサまで確立できるチャンスではあります。いずれにせよ、先生の高度の判断によって決せられるべきと思いますので御裁断を仰ぐ次第です」と書かれている。

 池田氏の権威・カリスマ支えるSGI

 こうした戦略・戦術に基づき、創価学会は海外布教権や信者に対する統率権の支配を確立するために、「日蓮正宗インターナショナル」ならぬ国際仏教者連盟(IBL)の創設を画策。当初の「連絡会議議題」にある通り、昭和50年1月にグァムで第1回世界平和会議を開催し、その席上、日達上人を名誉総裁とするIBLを結成するとともに、その傘下団体として「世界日蓮正宗創価学会(略称=創価学会インタナショナル)」を設置。池田氏が創価学会インタナショナル会長に就任したのだった。
 だが、その後、IBLは有名無実化され、実際には創価学会が支配・運営する「日蓮正宗国際センター」と創価学会インタナショナルが、実質的に海外信徒の統率権等を掌握していった。
 すなわちSGIとは、創価学会が日蓮正宗を支配するための戦略の一貫として、詐術的ともいえる手法で設置、発足させたものだったのである。
 こうした誕生のいきさつ、そして経過に鑑みるならば、SGIが、日蓮正宗の「信教の自由」を侵害する行為を展開していることは、なんら不思議ではない。
 そしてこのSGのI会長という立場こそ、池田氏の権威・カリスマの源泉であり、かつポスト池田大作体制の目玉である世襲の軸だと見られている。
 日蓮正宗支配の道具として誕生し、さまざまな勲章や名誉称号を獲得するための現地代理組織として機能し、池田氏の権威付けに一役買ったSGIは、ポスト池田大作体制にあっても重要な役割を果たしそうである。

乙骨正生(おっこつ・まさお)フリージャーナリスト。1955年生まれ。創価中学・創価大学法学部卒。宗教・政治・社会分野などを取材、週刊誌・月刊誌を中心に執筆。著書に『怪死』(教育資料出版会)『公明党=創価学会の野望』『公明党=創価学会の真実』(かもがわ出版)など。

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