特集/「池田私兵」養成機関・創価大学の真実

地元紙が伝えるアメリカ創価大学
「派閥抗争と秘密主義」の実態 
乙骨正生(ジャーナリスト)

本部幹部会で学長・副学長があいさつ

 創価学会には「外郭」と呼ばれる複数の法人や団体、企業がある。
 政治部門を担当する公明党、教育・学術部門を担当する創価大学や創価学園、さらには東洋哲学研究所、文化・芸術部門の民主音楽協会や富士美術館、出版部門の潮、第三文明、東西哲学書院などなどである。
 いずれも聖・俗両界での覇権掌握をめざす創価学会の「広宣流布」運動を推進するための重要な戦略機関だが、特に、池田大作名誉会長の教育・学術分野での権威の源泉であるとともに、創価学会の人材養成機関としての意味合いをもつ創価大学は、政権与党・公明党と並んで外郭の筆頭的存在と位置づけられている。
 そうした創価大学と創価学会の関係を端的に示すのが、創価学会の本部幹部会におけるアメリカ創価大学の学長や副学長のあいさつといえよう。昨平成十四年十一月に行われた本部幹部会ではダニエル・ハブキ(羽吹好史・創価大学、創価高校一期生)アメリカ創価大学学長が、そしてこれに先立つ七月の本部幹部会では高橋朋子副学長が挨拶、創価大学は池田大作名誉会長を原点とする大学であることを強調している。以下、羽吹学長の発言を紹介しよう。
 「一、アメリカ創価大学(SUA)は、昨年の5月3日に開学式を行い、一年半が過ぎました。
 これまでに全米の新聞40紙以上に取り上げられ、中でも、世界の新聞界をリードする『ニューヨーク・タイムズ』紙は、1面にキャンパスのカラー写真を載せて、『太平洋を望み、天空に伸びゆく驚嘆すべき教育施設であり、教育事業である』と報道しました。
 また、地元の『ロサンゼルス・タイムズ』紙は、『仏法を基調とした平和を目指す新しい視点の大学』と期待を寄せています。(中略)
 一、アメリカ創価大学は、創立者池田先生の教育にかける一念に呼応した、一人ひとりの皆さまの真心の結晶の、世界に例を見ない、民衆立の大学です。これは、他のどんな大学も持ち得ない宝であり、誇りです。
 池田先生が創立者であること。まさに、ここにアメリカ創価大学が世界に類を見ない学舎であることのすべてが凝縮しています。今後ともご支援のほど、心よりお願いいたします」
 一昨年の開校時には、ブッシュアメリカ大統領から祝電の来たことを「聖教新聞」で大々的に喧伝。マスメディアからも期待の声が寄せられているとするアメリカ創価大学。だが、そのアメリカ創価大学の実状は、アメリカのマスコミ各社から期待を寄せられるなど「順風満帆」であるかのように主張する羽吹発言とは裏腹に、むしろ「池田先生が創立者であること。まさに、ここにアメリカ創価大学が世界に類を見ない学舎である」がゆえの混乱と矛盾が吹き出していることが、このほどアメリカ創価大学のあるカリフォルニア州オレンジ郡で発行されている地元紙「ザ・オレンジカウンティ・レジスター」の記事によって明らかとなった。

 渦巻く派閥抗争と秘密主義

 問題の記事は、二月二十八日付同紙電子版に掲載されたスーザン・ギル・バードン記者による「キャンパスの美しい壁の中では、派閥抗争と秘密主義が渦巻いている」と題するアメリカ創価大学についてのレポート。それはこんな書き出しで始まっている。
 「(アメリカ)創価大学開校当時より在籍していた20人の教授陣のうち、四半数にのぼる教授が既に辞職するか、6月までに辞職することになっている。これは、仏教セクト(創価学会)によって設立された(創価)大学が、自由かつ無宗教を掲げた教育現場において、(創価学会が)本来の目的とする宗教教育を行わなければならないという2つの対立する目的のために生じた問題である」
 ここに記された辞職した教授の一人で、いまはカリフォルニア州立大学フルトン校に再就職している元生物学教授アン・ハウトマン女史は、顔写真入りで紙面に登場。「公約」を守らないアメリカ創価大学の欺瞞的体質をこう証言する。ちなみにアン元教授は、「一時、(アメリカ)創価大学の中でも最も高名で精力的な教授の一人であった」という。
 「新設された(創価)大学は、最初に公約したはずの自由と無宗教という理念を全く実行していない」
 これを受けてレポートは、創価大学が「自由」と「無宗教」という公約を踏みにじっているばかりか、創価学会本部の傘下にある大学本部によって厳しく統制されているという事実を次のように報じている。
 「103エーカー(約12万6千坪)の広大な敷地を持つキャンパスは、2001年8月に開校されたが、当初、世界平和、人権擁護を目的に謳い、教授と学生がともに、カリキュラムの作成、教授の採用、予算作成にまで参加できるという非常にリベラルな学芸大学であるとして、学生募集を行っていた。
 だが、『そのような公約は一切守られなかった』と証言する教授や学生は少なくない。また、彼らの証言によれば、ほとんどの決定は、創価学会員のみによって構成されている大学本部によりなされていた。しかも非学会員の教授や学生が、大学本部の決定に対して不服を申し立てることは非常にはばかられた」
 本誌今号のもう一つの特集「『組合潰し』にみる創価大学の異常」で記述されているように、東京都八王子市にある創価大学本校でも開学草創期に、大学自治や学問の自由、言論の自由を尊重するとした当初の約束や雇用条件を守らなかったことに対して、非学会員教員が教員組合を作って批判の声をあげたところ、大学側は池田氏の陣頭指揮のもと、理事会、学会員教員、職員、学生が全力をあげて教員組合潰しを断行。批判勢力である教員組合をパージした事実があるが、どうやらアメリカ創価大学でも同様のトラブルが生じているようなのだ。
 再びアン・ハウトマン元教授の証言を引用するレポート。アン元教授はアメリカ創価大学の実態をこう厳しく批判している。
 「前に述べたような環境は、大学などすべての教育現場における理想ですが、創価大学内の教育現場は、こうした美辞麗句と正反対の対局に位置し、秘密主義、階級組織、高圧的で偽りの環境だった」
 こうしたアン元教授らの離職や批判に対して、創価大学側は大学本部の理事等が次のように弁解する。
 「高い離職率や大学環境に対する不平不満は、大学に対しての過剰なまでの期待が原因であり、こうしたすべての事が開校後1年半しか経っていない新設大学の産みの苦しみ」

 宗教差別や不当解雇で訴訟も惹起

 だがレポートでは、創価大学を解雇された美術担当の前教授や図書館館長が、宗教差別と契約不履行を理由に創価大学を提訴していること。また、アン元教授をはじめ、情報システム部長、企業専門研究員、学籍担当事務官など四人の重要な教授ならびに事務職員がここ数カ月の間に辞職したことを紹介。「創価大学の抱える問題は、単に文化や宗教の違いによる誤解よりも、もっと根深い問題である」として、以下のように大学本部の理事等の弁解が詭弁にすぎないことを事実に即して浮き彫りにしていく。
 「リンダ・サウスウェル氏は、創価大学が開校する前に、美術の教授の職を解雇され、現在、大学及び大学本部の幹部を被告にして、宗教差別、不当解雇、契約不履行を理由に訴訟を起こしている。
 前図書館館長のジョン・シェリダン氏も、2001年10月の不当解雇に関し、創価大学を相手取り仲裁の申し立てをしている。
 二人は、大学本部幹部が、無宗教で自由な職場環境を公約したにもかかわらず、全く実行されていないことを不服としている。また二人は、創価大学と創価学会の宗教的関係やつながり、解雇された教授会学部長バリツアー氏を含めて、大学本部幹部の資格について疑問を持ち始めたとたん、何の理由もなしに解雇された。
 サウスウェル氏は、(大学)設立準備委員会のメンバーであったが、教授就任後、わずか7カ月で解雇された」
 サウスウェル女史やバリツアー氏らは、創価大学と創価学会の関係や、大学本部の幹部職員の資格について疑問をもった途端に解雇されたというのである。これに対して創価大学側は次のように反論する。
 「サウスウェル氏の解雇は、彼女の職務内容に問題があるためで、そうした問題は、教授就任当初から既に見られた」(ダイアナ・スコット創価大学側代理人弁護士)
 「現在、大学の抱えている問題は、アメリカでは、ほとんど知られていない日本の宗教と関連して、誇張されているのではないか」(学会員のケン・サラサゴ英文科教授)
 「『ある人は、巨大で、秘密ばかりだ』と思っている。でも実際は『カーテンの後ろを歩いてみれば、決してそうでないことがよく分かる』」(同)
 問題の矮小化をはかるのは、創価学会の常套手段。アメリカ創価大学の羽吹学長が創価学会の本部幹部会で、アメリカ創価大学の根幹は池田氏が創立者であることだと強調している事実に鑑みるならば、これらの弁解・反論がいかに欺瞞に満ちたものであるかは明らかである。しかしこうした事実を知らないにもかかわらず「ザ・オレンジカウンティ・レジスター」紙のレポートは、具体的事実の指摘をもってアン元教授の言う「秘密主義、階級組織、高圧的で偽りの環境」の実態を明らかにしていく。以下、そうした記述を紹介しよう。
 「ハウトマン教授は、『創価大学の教授会は、いままで自分が経験してきた中で、最も無力な教授会だった』と証言する。
 ハウトマン教授は、創価学会員の教授は、特別待遇を受けていると主張する。学会員の教授だけは、学生募集のための出張に参加できるが、非学会員の教授はそうしたことを知らされてもいなかった。また、新任の社会心理学教授も含めて何人かの学会員の教授は、ダニエル・ハブキ創価大学理事により直接採用されるが、非学会員の教授は、全国から募集を行い、選抜された後に、ようやく雇用契約を結ぶことになる」
 「既に十数人の学生が、大学を中退したが、その理由として、学内の張りつめた雰囲気や大学の研究科目プログラム、来学期より予算削減のため、教授陣も常勤ではなく、数十人の非常勤教員を採用するという大学本部の決定などを懸念している」
 「これから辞めていく人達(辞めずに残る人達もいるが)は、創価大学の先行きに対して不安を抱いている。彼らは一様に、一部の教授や学生が、意見することをはばかられるような環境では、学問の自由を得ることは不可能だと断言する。そしてその事が、大学が本来追求すべき、大学のレベル向上や学生を集めるのに必要不可欠とされる大学に対する信用そのものを落としている」
 「アメリカ人学生の多くは、ほとんどが日本人かつ創価学会員である学生群の中で、自分たちが恷ソ問してはならない環境揩ノおかれていることを、非常に不快に思い、そのことが原因で創価大学を退学するか、ないしは既に退学している」
 この「ザ・オレンジカウンティ・レジスター」のレポートは、創価大学の実態と本質を、教員や学生の証言をもとに的確に抉り出しているといえよう。
 ちなみにこの「ザ・オレンジカウンティ・レジスター」は、アメリカ創価大学の運営母体がSGIであること、また日本の創価学会から巨額の資金が拠出されている事実を次のように伝えている。
 「(アメリカ創価)大学には、創価学会に所属する学生が200名程在籍しているが、半数はアメリカ以外の国から来ており、そのほとんどは日本から来ている。
 (アメリカ)創価大学は、SGI(創価学会インタナショナル)によって運営されているが、SGIは日本最大の仏教宗派の関係団体である。学会員より校舎建設と運営資金として5億ドル(約600億円)もの寄付を集めた」

 創価大学は「カルトスクール」と報道

 アメリカ創価大学の前身ともいえる創価大学ロサンゼルス分校は、ロサンゼルス郊外のマリブに開校した。だが、風光明媚で国立公園に隣接する同地で大規模開発を企てた創価大学に対して、環境保護を訴える地元住民、アメリカ政府国立公園保護局が猛反発。結局、連邦議会で創価大学用地の買い戻しが審議、可決されるにいたって創価大学側は創価大学ロス分校の大規模開発を放棄。オレンジ郡に移動して、アメリカ創価大学を開校したのだった。
 その創価大学ロサンゼルス分校の大規模開発問題を取り扱ったカリフォルニア州の地元テレビ局KABCは、創価大学を日本でもさまざまなスキャンダルを起こしている特殊な宗教団体創価学会に支配された「カルトスクール」と呼んだ。
 池田氏のカリスマの源泉であるとともに、創価学会の人材養成機関としての役割を果たす創価大学。その「キャンパスの美しい壁の中」にあるおよそ人権や平和とはほど遠いおぞましいばかりの「派閥抗争と秘密主義」の実態を、この「ザ・オレンジカウンティ・レジスター」の記事は明らかにしている。


乙骨正生(おっこつ・まさお)フリージャーナリスト。1955年生まれ。創価中学・創価大学法学部卒。宗教・政治・社会分野などを取材、週刊誌・月刊誌を中心に執筆。著書に『怪死』(教育資料出版会)『公明党=創価学会の野望』『公明党=創価学会の真実』(かもがわ出版)など。