特集/「集票・集金軍団」創価学会婦人部の構造
創価学会の実働部隊「婦人部パワー」の異常性 (H15.3.15号)
-段 勲(ジャーナリスト)

 婦人部は「創価学会の母」

 これまで、折にふれて多くの大手教団(創価学会、立正佼成会、霊友会、天理教、PL教団、生長の家、真如苑……)の各種行事を見聞してきた。
 活動会員(信者)が集う各教団の会場で、共通して目立つのは三〇〜六〇代という婦人層の多さである。家庭生活の大黒柱は、毎月、給料をせっせと運ぶ夫。だが、各教団の屋台骨は、いずれも“純粋な信仰”を持つ婦人たちによって形成されているようだ。
 マンモス教団・創価学会も例外ではない。池田大作・創価学会名誉会長から「創価学会の母」と敬称されている婦人部は、組織活動の核ともいっていい。選挙時のF票(浮動票)集めから聖教新聞の啓蒙(拡販)活動、あるいは年恒例の財務納金にしても、そのパワーが余すところなく全開する。
 ともかく学会組織の中で、池田氏が、「婦人部」をどれほど重宝しているか。婦人部最高幹部や池田氏本人の言葉から引いてみよう(出典は「聖教新聞」)。
 「創価学会にとって、最も大切なこの五月三日を、名誉会長は『創価学会母の日』としてくださいました……このような“広布の母”である婦人部を最大にたたえ、『婦人部が健在であれば、学会は健在である』とも激励してくださっています」(一九八八年五月、「第五回本部幹部会」多田時子・総合婦人部長発言)
 ちなみに五月三日とは、池田氏が三代会長に就任した日(一九六〇年)。同会にとっては、北朝鮮における金正日総書記の誕生日に匹敵するほどの重要な祝日だ。
 「名誉会長は『婦人部は学会の柱である。『婦人部を大切に』と、繰り返し婦人部の健闘をたたえてくださっています』(一九八九年一月二十三日、坂口幾代・婦人部長発言)
 一方、当の池田氏が「婦人部」に贈っている言葉は、
 「いつもいつも、広布の活動を推進し、支えてくださっているのが婦人部の方々である。ゆえに私は、婦人部の皆様を心から大切にしているし、お会いするときは、いつも心の中で礼をしているつもりである。会合においても、幹部は特に男性の幹部は、婦人部の方々を最大の真心で迎え、謙虚に礼を尽くして接していただきたい」(同三月三十一日)
 公称、五〇〇万人ともいわれる学会「婦人部」の組織は、一九九九年十二月の新人事で、総婦人部長に坂口幾代氏、婦人部長に、高柳洋子氏(西日本担当)、笠貫由美子書記長(東日本担当)東京婦人部長に先崎貴代子氏。ほか、SGIでは、秋山栄子女性部長(欧州女性部長)、八矢弓子北米女性部長、浅野香世子アジア女性部長が就任している。これらの面々が、現在の学会「婦人部」を率いる最高幹部たちである。

 高額財務(寄付)も婦人部が支える

 では創価学会の母、あるいは柱とまで敬称されている同会「婦人部」の、組織活動ぶりをみてみよう。
 手元に、こんな用紙がある。
 「振込金受領書 平成14年12月10日 金額、100000円 振込先銀行 三井住友銀行○○支店、整理番号 21……(10ケタ)、お名前 ○○」
 もう一枚の「振込金受領書」も、日付、銀行、金額が同じで、違うのは整理番号と氏名である。
 昨年暮れに実施された「財務」で、会員が銀行振り込みで創価学会の地方会館事務局に送付した際の「振込金受領書」だ。二人とも「お名前」は女性名である。何かと散財する暮れに、一〇万円の財務納金とは、ボーナスを支給されて懐が温かいOLの女性会員たちであろうか、それとも主婦か。
 でも、一〇万円程度の財務額で驚いてはいられない。さらに手元に、一地方の「財務納金」を記録した一覧表がある。
 一番少ない金額で一〇万円、中間で二〇万円、五〇万円、一〇〇万円の単位もある。こうした金額が並ぶ一〇〇人近い氏名の半数が、女性の名前になっているのだ。惜しみもなく、高額な財務を納金するこのような女性の職業はなんであろうか。
 なんの変哲もないこの一地方に、とりわけ景気のいいキャリアウーマンが、まとまって住んでいるとは思えない。しかも「財務」納金は毎年のことである。五〇万円、一〇〇万円の納金とは、ただ熱い信仰からほとばしる供養の精神なのか。
 こうした「財務」に関し、事例としては少ないケースかもしれないが、納金で家庭不和を招いている事実もまた確かである。二例あげてみよう。
 関東圏に住む一組の夫婦は、妻は熱心な学会の活動家だが、サラリーマンの主人Aさんは非活動家。それでも主人が、妻の信仰活動を黙認してきたのは、主人も若い時代、やはり学会組織の青年部幹部として活動していた経歴を持っていたからだ。
 夫婦になって二〇余年間。主人は給料やボーナスの全額を妻に渡し、一切の家計を任せてきた。
 ところがある日のこと。主人は、妻のバックから偶然にも「財務」納金の領収書を発見し、度肝を抜かれてしまう。はるかに予想を超えたケタ違いの納金金額が並んでいたからだ。
 お互いに学会の信仰心に燃えていたら、ここで夫婦喧嘩など起らなかったかもしれない。Aさんがこう言う。
 「私は妻に、『学会本部職員のボーナスを払うために働いているわけではない!』と、言ったわけです。かつて私も若い時代、学会活動をしていた一時期がありました。だから妻の学会活動も、家族や家庭を犠牲にしない限り認めていました。しかし、子どもたちにひもじい思いをさせてまで、学会に金を出す必要性は全く認めていません。この不景気というのに、私に言わせれば、これはもう妻の病気です」
 翌月から給料の管理から家計の采配まで、主人のAさんに移った。
 もう一例。都内に住む六〇代の夫婦に亀裂が入ったのは、最初、仏壇の購入をめぐる論争に始まる。妻だけが学会に入信し、住まいのマンションにタンスほどの大きさを誇る仏壇を入れた。未入信の主人は、これに激怒。
 「池田を取るか、俺を取るか」
 と、白熱の論争が展開され、あわや離婚寸前までいった。その後、信仰活動をめぐって、夫婦間で何度も火花を散らしあった。なかでも、「財務」の納金額をめぐる、主人の主張とはこうであった。
 「私が働いて得た大切な金を、家族のために使うなら少しも文句は言わない。それを、本人の俺が批判的な宗教に、なぜお前が勝手に財務に出すのか。お前はそれで功徳なるものを受けるのはいいが、批判している俺は、金を出しながら罰が出るのか?」
 長いこと“冷戦_”が続いているこの夫婦が、離婚にまで至らなかったのは、子どもの将来を考えてのことである。
 この夫人の熱心な学会活動は現在に至っているが、家族まで犠牲にしたこうした主婦層のひたむきな活動が、今日の学会財政を大きく支えている要因の一つである。

 ケタ外れの新聞啓蒙・集票パワー

 「財務」に次いで、学会財政のもう一つの柱になっている「聖教新聞」の啓蒙(拡販)も、婦人部の独壇場だ。
 毎月、学会では、組織の支部単位で集計を取る「聖教新聞啓蒙成果報告書」がある。支部組織の傘下には「地区」、さらに地区の下に約一〇世帯前後を一組織にする「ブロック」があり、成果報告書は、そのブロックごとの単位で集計・記録される。
 しかも、さらに各「ブロック」に所属している学会員を、「壮年」「婦人」「男子(部)」「女子(部)」の四者に分けての綿密な組織記録だ。全国の支部で、このようにして集計される聖教新聞の啓蒙部数は、最終的には本部に届く。
 これも手元にある都内某支部の内部資料によると、「婦人部」による啓蒙成果が圧倒的に多い。壮年部、女子部、男子部等は、月によって、啓蒙数がゼロという記録がある。
 ところが「婦人部」はいつもダントツで、どの地区にしても、月に上げる啓蒙の成果が、壮年、男子、女子のひとケタとかゼロに対し、婦人部は二〇部とか三〇部。壮年、男子、女子が束になっても敵わない啓蒙部数の記録を見せている。名だたる読売新聞拡販軍団も顔負けの成果である。
 「外出するとき、ハンドバックの中には、数珠と一緒に、聖教新聞の申込書用紙が必ず入っている」(先のAさん)
 職を持つ主人と違って、早朝、夫を会社に送り出せば、主婦は時間がある。熱心な活動家にとっては、一日中、新聞の啓蒙活動ができるのだ。婦人部が「創価学会の母」と言われる所以である。しかし、婦人部による熱心すぎる聖教新聞の啓蒙が、他人に迷惑をかけてしまう例がある。
 都内の都営団地に住む主婦Bさんは、大のつくほどの宗教嫌いだ。ところが、同じ団地には学会員世帯が多く、Bさんの両隣も熱心な学会員家庭だった。こうなると、宗教が嫌いでも、日常的に顔を合わせ、相応のつき合いをしなければならない。
 その隣人の主婦から、ある日、いきなりこう言われた。
 「お願い、聖教新聞一部購読して! どうしてもお願い、一カ月でいいから」
 Bさんは断ろうと思った。が、そのとき、自分の子どもの顔が浮かんでしまう。隣人の子どもとは、同じ小学佼に通い、クラスも同じ。ここで断ったら、子どもがイジメに遭うかも知れないと不安を抱いたという。
 Bさんがこう言う。
 「一般紙の購読勧誘なら、きっぱり断っても問題はありません。しかし、毎日顔を合わせている隣近所の住人からお願いされたら、なかなか断り切れないのです。私以外にも、同じような理由で困っている人がたくさんいるはずです。選挙だってそうなのですから」
 確かに、選挙もそうだ。これも「婦人部」のパワーが爆発する。筆者の知人は、こう体験を語る。
 九州・某県出身のC氏は、勤務会社を定年退職し、東京の自宅で年金生活を送っていた。何年か前の総選挙時、投票日の一週間ほど前に、九州からC宅に一本の電話がかかってきた。落ち着いた女性の声だが、名乗られてもなかなか思い出せない。
 それでも、遠い親戚が東京に出て来たということから、都内の喫茶店で会った。千円程度の土産物を渡され、話し合っているうちに確かに遠い親戚に間違いはない。
 そのうち、婦人の口から「公明党に一票をお願いします……」という言葉が漏れてきた。慎ましい服装を着用していた五〇代のその婦人は、手に提げた紙袋に、似たような土産物がまだたくさん入っていた。
 公明党の票稼ぎに、わざわざ九州から飛行機で東京に来る。候補者の強力な後援会員でもないのに、この熱意と出費。くだんのC氏は、あらためて学会の壮絶な選挙活動ぶりに脱帽したという。集票軍団、学会「婦人部」のどこでも見聞される姿である。

段 勲(だん・いさお)フリージャーナリスト。1947年生まれ。週刊誌記者を経て、創価学会・公明党など宗教問題をはじめ社会・世相、医学・健康等をレポート。近著の『私はこうしてがんを克服した』(日本能率協会)『鍵師の仕事』(小学館)『宗教か詐欺か』(リム出版)など著書多数。

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