2003年12月1日号
特集/総括!―03年衆議院選挙

連立政権の死命制した創価学会
政権交代には「政教分離」の堅持が要


ジャーナリスト 乙骨正生

 選挙結果に欣喜雀躍する創価学会

 「873万票、過去最高だ」
 創価学会の池田大作名誉会長が吠えている。
 衆議院総選挙の投・開票から4日ほど経った11月13日、創価学会は東京・千駄ヶ谷にある国際友好会館で本部幹部会(兼青年部幹部会)を開催。その席上、スピーチした池田大作氏は興奮状態で「勝った、勝った」とまくし立てた。
 公明党が解散時の議席を3議席増やして34議席となるとともに、比例区の得票でも過去最高の873万票を獲得。自民党と併せて絶対安定多数を確保し、惨敗した保守新党が自民党に吸収されたことで、名実ともに自・公連立政権となった小泉政権の死命を制したことに、創価学会は欣喜雀躍しているのである。
 しかも今回の総選挙において公明党は、小選挙区に立候補した198人の自民党候補を推薦したが、このうち小選挙区で当選した候補は133人。小選挙区で当選した自民党議員168人の79%を占めている。また小選挙区では落選したものの比例で復活当選した候補は27人にのぼっており、公明党の推薦すなわち創価学会票をもらって当選した候補は237人の自民党当選者の67パーセントにあたる160人に達している。
 かつて平沢勝栄自民党代議士は創価学会票を「もらうと当選するが依存体質になり、体がボロボロになる」として「覚醒剤(シャブ)」に譬えたが、いまや自民党代議士の3分の2が「シャブ」漬けになっているのである。
 もっともこの中には次点と大差で当選した候補もいる。そこで創価学会票が当落の帰趨を左右した分岐点を仮に2万票と設定し、次点との差が2万票以内だった候補を抽出すると、創価学会票に大きく依存して当選してきたであろう議員は46人となる。これに比例復活組の27人を足すと合計で73人。160人に比べれば半減するが、それでもこの73という数字を、今回、自民党が獲得した237議席から引けば164議席となり、民主党の177議席を下回ることになる。すなわち自民党は、今回の総選挙で創価学会の支援がなければ第1党の座を維持できず、小泉政権は崩壊していたことになる。

 民主党の菅直人代表は、選挙後、「自民党は自由民主党ではなく公明自民党」と形容したが、自民党議員の当選を下支えし、連立政権の生命維持装置となったのは、熾烈な自・公一体選挙を繰り広げた創価学会票だったのである。その意味では、いまや自民党は菅氏が指摘するとおり「公明自民党」であり、より正確に表現するならば、創価学会票によって生き延びている「創価自民党」ということができる。
 池田氏ならびに創価学会は、自・自・公連立政権という「軒」を借りて家に入りながら、いまや自・公政権の主導権を握るという「母屋」を乗っ取る状況が生まれてきたことに欣喜雀躍しているのである。以下、有頂天の池田氏の発言と、同じく本部幹部会での秋谷栄之助会長の発言を「聖教新聞」とテープによって紹介しよう。まずは池田氏の発言から。
 「偉大なる団結の大勝利、おめでとう!(大拍手)勝つことは楽しい。勝てば、皆が愉快だ。仏法は、勝つためにある。最後に勝つのが、我らの信心なのである。世法は評判。国法は賞罰。仏法は勝負である。勝つか負けるか。勝負を決するために仏法はある。勝つために信心がある。真実の仏法を実践する者は、必ずや、社会で勝ち、人生で勝ち、あらゆる仏敵に勝ち抜くことができる。
 そして、見事に今世を勝ち飾れば、三世永遠に崩れぬ幸福境涯を、わが胸中に築いていくことができる――これが釈尊、天台、そして日蓮大聖人の厳然たる御確信であられた。信心とは、幸福になるための戦いである。幸福になるために、断じて勝ち抜きましょう!(大拍手)」(11月17日付「聖教新聞」)
 もっとも本部幹部会の模様を録音したテープによれば、実際の池田発言はこれほど整理されておらず支離滅裂状態。ただ、池田氏が激しく昂奮・昂揚していることはテープの音声からも明確に分かる。その池田氏は比例区の公明党の得票が873万票となったことを創価学会が日本一の団体になった証拠だと次のように豪語している。
 「平和と人道の1000万の陣列を達成することは、牧口先生、戸田先生の悲願であった。学会は今や、日本のあらゆる宗教、あらゆる団体をしのいで、世界的な平和勢力となった。昭和31年、学会がはじめて参議院の選挙の支援に取り組んだとき、全国区の得票は90万台。今回の得票は、いまだかつてない873万票である。本当に素晴らしい。社会も驚きをもって見つめている」(同)

 明年は「創価完勝の年」

 こうして総選挙の結果に大喜びする一方で、池田氏は手綱を締めることも忘れない。明年夏には自・公連立政権の試金石となる参議院選挙も控えている。そこで池田氏はインドのネルー首相の言葉を引用し学会員の油断をこう誡めている。
 「インドのネルー初代首相は、油断を排して、こう語った(独立前日の制憲会議で)。『われわれがきょう祝う業績は、われわれを待ち受けるより大きな勝利と業績をめざしての第一歩であり、好機の端緒にすぎない』
 勝った時にこそ、勝利の地盤を盤石に固めて、次の大勝利の因にしていく。これが歴史の教訓であると、首相は言いたかったのである。われわれもまた、この言葉のごとく、勝って驕らず、未来に向かって進んでまいりたい」(同)
 続いて16日付「聖教新聞」に掲載された秋谷会長の発言を紹介しよう。ちなみに「聖教新聞」に掲載された秋谷発言は、支離滅裂な発言を整理して掲載している池田発言とは異なり、実際の発言とほとんど同じである。
 「大勝利した全国の同志が、池田先生のもと晴れやかに集い合った、『11・18』創価学会創立記念の第32回本部幹部会、並びに第2回全国青年部幹部会の開催、誠におめでとうございます」と、まずは選挙の勝利を祝した秋谷氏は、続いて今回の選挙結果を「信心と団結の勝利」であると強調。さらにマスコミが二大政党制をアピールする中で公明党が議席を伸ばしたことは「画期的勝利」だと、次のように自画自賛する。
 「先の第43回衆議院総選挙におきまして、私たちが支援した公明党は、小選挙区で9人が当選、比例区では史上最高の873万票を獲得して25議席、合計34議席となり、大勝利することができました。本当におめでとうございました(拍手)。
 連日、奮闘する同志に思いをはせ、勇気と希望の励ましを送ってくださった池田先生と、その期待にこたえようと戦われた皆さまの“信心と団結の勝利”と確信するものです。全国の同志の皆さまの献身的な戦いに、重ねて感謝申し上げます。大変にありがとうございました。
 今回の衆院選は、有権者が政権選択をする2大政党の対決と喧伝されました。結果的に、自民党と民主党以外の政党は苦戦を強いられ、共産党と社民党が大幅に議席を減らしました。その中で、公明党だけが議席を増したという、画期的な勝利です」
 以下、第3党の必要性に言及した学者の発言などを紹介した秋谷氏は、最後に池田氏同様、政教一致批判などものともせず、「創価完勝の年」と位置づけられた明年の勝利に向けて前進しようと次のように呼びかけている。
 「くだらない『政教一致』の妄説などは吹き飛ばして、仏法の『人間主義の視点』から社会改革を目指す『立正安国』の使命を、ともどもに果たしていこうではありませんか」
 「いよいよ、本日より“21世紀の不滅の金字塔”を打ち立てる『創価完勝の年』への出発です。(中略)われわれは、大聖人の仰せのままに『立正安国』の精神で戦い抜いた、一人ひとりが信心の勝利者であります。胸を張って前進をしてまいろうではありませんか」
 「本日より、明『創価完勝の年』の完全勝利に向けて、決然と立ち上がり、威風堂々たる獅子王の前進を開始しようではありませんか」
 創価学会は明平成16年を「創価完勝の年」と位置づけた。その意味は、明年夏に予定されている参院選も「完勝」しようということ。ポスト池田大作体制構築の節目を明後年2005年5月3日に置いている創価学会にとって、明年夏の参院選は、「広宣流布の次の50年を決する戦い」と位置づけられていた今回の衆院選同様、絶対に負けられない選挙なのである。
 昭和45年に一大社会問題となった言論出版妨害事件の口火を切った『創価学会を斬る』の中で、著者の藤原弘達氏は、自・公の連立について次のように警鐘を鳴らしている。
 「もし自由民主党が過半数の議席を失うというようなことになった場合、公明党に手をさしのべてこれとの連立によって圧倒的多数の政権を構築するならば、そのときは、日本の保守独裁体制が明らかにファシズムへのワンステップを踏み出すときではないかと思う」
 「ちょうどナチス・ヒトラーが出た時の形と非常によく似て、自民党という政党の中にある右翼ファシズム的要素、公明党の中における宗教的ファナティックな要素、この両者の間に奇妙な癒着関係ができ、保守独裁体制を安定化する機能を果たしながら、同時にこれを強力にファッショ的傾向にもっていく起爆剤的役割として働く可能性も非常に多くもっている」
 現代のファシズムは「民主主義の顔」をして台頭してくるのである。創価学会が自・公連立政権の死命を制したことで、藤原氏が警鐘を鳴らしたファシズムへの道を加速度的に歩み始める可能性は否定できない。

 選挙結果分析

 ところで、自・公一体だった今回の選挙結果を詳細に分析するとさまざまなことが見えてくる。例えば、池田氏が「過去最高」と喜ぶ比例区での873万票の獲得だが、この数字が上げ底であることは自民党の比例区票の増減を見ると一目瞭然。
 すでにマスコミ報道において、今回の総選挙では自民党副総裁の山崎拓氏をはじめ、公明党から推薦を受けた多くの自民党候補が、「比例は公明」と連呼。安倍晋三幹事長が「公明党は弱いところに圧力をかける」とこぼしていたと報じられたように、公明党が獲得した比例票には、純粋に公明党を支持して投じられたものではなく、小選挙区での支援とバーターで投じられたものがあることが明らかになっている。要するに自民党の支持組織、団体の一部の票が恣意的に公明党に回されたのである。そうした事実は、平成12年衆院選、平成13年参院選での自民党比例区の得票数と今回の得票数の増減を比較することでも浮かび上がってくる。
 というのも前回平成12年総選挙で自民党は、不人気の森首相のもとでの選挙だったこともあって比例区では1694万余票しか獲得することができなかった。ところが国民的人気が高かった小泉首相のもとで行われた平成13年参院選ではいっきに得票を400万票余り増やし2111万票を獲得した。ところが今回の総選挙では同じく小泉首相が拉致問題で人気のある安倍晋三氏を幹事長に起用して臨んだにもかかわらず、45万票ほど得票を減らしているのである。
 これに対し、公明党は、776万票だった前回平成12年総選挙に比べると今回は97万票も得票を増やしているが、平成13年の参院選ではすでに818万票を獲得しており、同選挙と比較するならば今回の得票増は54万票にすぎない。前回参議院選挙と比べて自民党は45万票の得票減、そして公明党は54万票の得票増。差額の9万票は、公明党から推薦された保守新党候補や公明党・創価学会に擦り寄り、「比例は公明」との文書を配布した民主党候補もいたことから、若干の上積みがなされたものと推測することができるので、自・公の得票の増減は、今回の公明党の得票増の主要な部分を占めているのは、バーターによってもたらされた自民党票であることを示しているといえよう。
 一方、公明党が推薦した193人の自民党候補の選挙結果からも、創価学会が今回、自民党候補にどのような支援を行ったか、その輪郭が浮かび上がってくる。その態様を一言で言えば、「貰うものは最大限貰い、与えるものはより少なく」という戦術だったようだ。
 その実例を小選挙区の結果から検証してみよう。まずは公明党候補に対する自民党側の支援の結果である。今回、公明党・創価学会は小選挙区に擁立した10人の候補全員の当選を目指したが、特に激戦区として力を入れたのは、東京12区の太田昭宏、埼玉6区の若松謙維、神奈川6区の上田勇、そして兵庫8区の冬柴鉄三、沖縄1区の白保台一の各候補だった。
 このうち沖縄1区だけは、自民党前職の下地幹郎候補との間で公認調整が揉めたため、結果的に前回比マイナス27925票という結果になったが、沖縄1区以外の各候補の前回平成12年選挙での小選挙区の得票数(太田は平成8年選挙の沢たまきの得票)と今回の得票数を比較すると、いずれの候補も大量に得票を増やしていることが分かる。
 太田 60289→98700  +38411 当選
 若松 78000→103511 +25511 落選
 上田 52175→82269  +30094 当選
 冬柴 75380→94406  +19026 当選
 このうち東京12区の太田候補は、平成8年選挙で沢たまき候補が獲得した60289票の実に63%にあたる38411票も得票を増やしている。また、神奈川6区の上田候補は平成12年選挙の得票数の57%、若松候補は同32%、冬柴候補は同25%も得票を増やしている。この飛躍的な得票増が与党統一候補というアピールによる「公明党隠し」と、自民党の支援の結果であることは明らかである。

 学会の「支援」は複雑多岐

 これに対して公明党・創価学会側からの自民党候補に対する支援は、全面支援からほとんど支援なしまで、実に複雑な様相を呈していることが選挙結果から窺える。いくつかの例を見てみよう。例えば、ある大手報道機関が創価学会依存度が極めて高く「ランクA」と位置づけていた東京1区の与謝野馨候補や東京2区の深谷隆候補、東京5区の小杉隆候補、栃木1区の船田元候補などは、以下のように前回比で大幅な得票増を果たしている。
 与謝野 90540→103785 +13245 比例復活
 深谷 81923→91926  +10003 落選
 小杉 79609→99618  +20009 比例復活
 船田 91411→123297 +31886 当選
 このうち与謝野候補が当選した東京1区(千代田・港・新宿)で公明党は、今春実施された統一地方選・区議選で30996票を獲得している。もとよりこの得票の中にはフレンド票といわれる非学会員の票も含まれているため、仮に3分の2の20664票を創価学会の組織票として試算すると、東京1区では組織票の66%が与謝野候補に投じられたと推定することができる。
 同様に東京2区では統一地方選で28112票を獲得しており、3分の2の18741票を組織票として試算すると53%を深谷候補に投じたと推定することが可能だ。
 また今回31886票を上積みして返り咲いた船田氏の栃木1区(宇都宮市など)で公明党は、平成13年の参議院選挙比例区で24521票を獲得している。得票増が参院選比例区での公明党獲得票を凌いでいることから、どの程度、創価学会が船田氏に投票したかを推定することはできないが、仮に与謝野氏と同程度の66%程度であれば得票増の約50%、深谷氏と同じ53%程度だとすると得票増の30%強を創価学会票が支えていることとなる。
 自・公連立の盟友として公明党が推薦した山崎拓自民党副総裁は、自身の女性スキャンダル・下半身スキャンダルで大苦戦を強いられ落選。多くの有権者が山崎氏を見限り、前回比25000票も得票を増やした民主党の新人である古賀潤一郎氏に投票したものと思われるが、それでも山崎氏がわずか1331票とはいえ得票を増やしたのは、福岡2区で今春の統一地方選区議選で公明党票31466票を獲得した創価学会が一部の票を回したからと推定される。
 こうした一方で、公明党が推薦していても創価学会がほとんど支援していないと見られる候補も数多く見られる。例えば、船田氏同様、自民党の若手代議士として嘱望されている栃木3区の渡辺喜美氏は、前回選挙時に比して今回は11819票も得票を減らしている。栃木3区(大田原市、黒磯市、矢板市など)で公明党は前回参院選比例区で16473票を獲得しているにもかかわらず、渡辺氏は大幅に得票を減らしているのである。
 こうした傾向は全国各地で見られ、例えば若松候補が立候補した埼玉県では埼玉3区(草加市・越谷市)の今井宏候補が前回よりも16244票の得票増で比例で復活。埼玉7区(川越市など)の中野清候補も前回比11785票で比例で復活した。しかし埼玉5区の高橋秀明候補は前回比で25769票減で落選。埼玉9区の大野松茂候補も小選挙区で当選は果たしたものの前回比で6669票も得票を減らしている。
 このうち埼玉3区を見ると公明党は直近の二つの市議選で合計37021票を獲得している。この数字をベースに先の試算で支援の割合を算出すると、創価学会は埼玉3区では65パーセントの組織票を投じたと推定できる。
 だが、上記のように埼玉5区や埼玉9区などでは得票を大幅に減らしている。このうち埼玉5区の高橋氏の対抗馬は民主党の枝野幸男政調会長。そして埼玉9区では民主党の五十嵐文彦氏に対して大野氏が優勢と見られていた。どうやら創価学会は、勝ち目のない相手や推薦候補が優勢である場合、あるいは見返りが期待できない場合、支援を手控えたり、手を抜くものと見られる。
 事実、見返りが全く期待されない保守新党の候補は、党首の熊谷弘氏が37903票も得票を減らして落選したのをはじめ、秋田1区の佐藤敬夫氏が51536票、東京14区の西川太一郎氏が28410票も得票を減らし、相次ぎ落選。当選した井上喜一防災担当大臣にしても16111票も得票を減らすなど、のきなみ得票を減らしている。
 こうした結果、公明党が推薦したにもかかわらず、多くの自民党候補が前回よりも大幅に得票を減らしている。その主な候補は次のとおり。
 青森1区 津島雄二  −15180 当選
 秋田3区 村岡兼造  −52723 落選
 茨城2区 額賀福志郎 −7392 当選
 群馬5区 小渕優子  −19143 当選
 岐阜3区 武藤嘉文  −14621 当選
 石川1区 馳浩    −10104 比例復活
 石川3区 森喜朗   −27916 当選
 大阪13区 西野陽   −12303 当選
 岡山4区 橋本龍太郎 −24235 当選
 岡山5区 村田吉隆  −12154 当選
 広島4区 中川秀直  −16625 当選
 広島5区 池田行彦  −33690 当選
 広島6区 亀井静香  −21131 当選
 広島7区 宮沢洋一  −21658 当選
 福岡3区 太田誠一  −8507  落選

 青森や山梨、岡山などでは推薦した自民党候補すべてが得票を減らしている。また、かつて創価学会問題を国会などで質問した候補は、武部勤前農水大臣が17756票得票を増やしているものの、亀井静香氏の2万余票減に象徴されるように、のきなみ得票を減らしている。
 また、池田大作レイプ事件についての自民党機関紙「自由新報」の報道について、今年年頭にも謝罪し、その事実を「聖教新聞」で繰り返し繰り返し報じられている橋本元首相も2万4千票も得票を減らしているし、創価学会の会館に来て、かつて創価学会を批判したことを謝罪したことを暴露されている村岡兼造氏も、5万票も得票を減らして落選した。
 この村岡氏は地元の公明党の集会に出て、「比例は公明党でやらしてもらう」と確約・公言していたにもかかわらず、テレビ朝日の報道によれば、創価学会は対立候補を支援したという。
 本誌11月1日号の編集後記では、10月12日付「聖教新聞」が「首都圏」で「乙骨のパーティ」に出席したことのある「民主党代議士」が、創価学会の会館に挨拶に来て、「今後一切、付き合うつもりはない」と「乙骨に絶縁宣言」するとともに、民主党内で創価学会批判が起きた場合、これを抑止すると発言した事実を報道、「見識ある態度」「さすが」「良識ある人物」などと礼賛していることを紹介した。
 「首都圏」の「民主党代議士」で「乙骨のパーティ」に出席したのは埼玉8区の木下厚氏だけ。本人に確認はしていないが、発言しているのが元埼玉県長の西村関東長であることからも、この「民主党代議士」が木下氏である可能性は否定できない。その木下氏の選挙区である埼玉8区で公明党は、対立候補の自民党・新井正則氏に推薦は出さなかった。ところが創価学会首脳が「見識ある態度」「良識ある人物」などと高く評価していたにもかかわらず、地元の学会員は木下氏を支援することなく、逆に自民党の新井氏を支援していた。このため木下氏は新井氏に1541票差で落選(比例復活)した。
 「人物本位」を建前にする創価学会の支援の基準は、あくまでも創価学会の組織的思惑に基づくものであり、創価学会に謝罪あるいは媚びを売っても票など回してもらえないことを橋本氏や村岡氏、あるいは木下氏の事例は示しているといえるだろう。結局、創価学会票欲しさに擦り寄る政治家は、創価学会に利用された挙げ句、使い捨てられていくことになるのである。
 平成3年12月に行われた全国県長会議の席上、秋谷会長は、公明党が参議院のキャスティングボートを握っていることをもって「日本の命運を決するのは学会、公明党に握られているのが今の日本である」と豪語した。
 上げ底とはいえ873万票を獲得した創価学会の集票力に惑わされ、公明党・創価学会に擦り寄る政治家がいる以上、日本の政治が創価学会によって引きずりまされる状況は変わらない。
 自・公が一応の勝利をおさめた背景に戦後2番目に低かった投票率があることが指摘されているが、投票率が5%上がれば次点と2万票差で当選した公明党推薦の自民党議員の当落はかなり微妙となった。また、公明党が34議席を獲得することもなかった。その意味で、いまこそ有権者の政治意識を高めることが急務の課題といえよう。

乙骨正生(おっこつ・まさお)フリージャーナリスト。1955年生まれ。創価中学・創価大学法学部卒。宗教・政治・社会分野などを取材、週刊誌・月刊誌を中心に執筆。著書に『怪死』(教育資料出版会)『公明党=創価学会の野望』『公明党=創価学会の真実』(かもがわ出版)など。

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