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2007年08月01日
特集/宗教と政治の混沌(カオス)
福本潤一参院議員の創価学会除名から見えるもの
乙骨正生 ジャーナリスト
「質問状」から逃げた池田学会
6月15日に公明党は「全体主義的」「アンチ・ヒューマニズム」の傾向があるとして、離党届を提出。同18日に離党届を受理しなかった公明党によって除名処分となった福本潤一参議院議員は、7月9日、国会内で記者会見し、7月29日投開票の参議院選挙に故郷である広島選挙区から出馬することを明らかにした。
被爆二世でもある福本氏は、記者会見の席上、原爆投下を「しょうがない」とした久間前防衛大臣発言を厳しく批判。「広島の心」「平和の心を」国政に届けたいと立候補の決意を明らかにした。その記者会見の席上、マスコミ関係者に配布されたのが、以下のような公明党創立者である池田大作創価学会名誉会長に対する「公開質問状」だった。この「公開質問状」は、7月7日午後5時過ぎ、福本氏本人が創価学会本部に出向いて、警備陣に直接手渡したもので、記者会見を行った7月9日正午を回答期限と設定していた。
《公開質問状》
公明党創立者 池田大作 創価学会名誉会長 殿
この度、公明党に離党届を提出したところ、除名処分になった福本潤一です。
この一連の経過および結論について、公明党の創立者であられる貴殿に是非ともお答えしていただきたい疑問が生じております。
このためこの公開質問状を作成し送らせていただきました。つきましては次に挙げる質問に対し、来る七月九日までに文書(ファックスでも可)にてご回答ください。
質問一 公明党の国会議員候補者の選定、任命は池田名誉会長が自ら最終決定をしていると言われていますが本当でしょうか。
質問二 今回の参議院議員の候補者から福本を外したのは、私の政策秘書であった馬田秘書の急死に伴う葬儀が日蓮正宗で行われ、参加するなといわれた私がその前日に御遺族の御自宅を訪問し、焼香したからでしょうか。
質問三 今回の福本の除名処分は池田名誉会長ご自身が決定されたものでしょうか。
質問四 私の離党申請に対し『公明党議員は死ぬまで公明党だ』『離党はすなわち裏切り者』『問答無用』とばかり除名処分にされたことについて、私が《全体主義》《アンチヒューマニズム》と指摘していますが、常日頃ヒューマニズム(人間主義)を叫ばれている池田名誉会長はどう考えられておられますか。
質問五 日頃から『裏切り者は許すな!』と指導されている貴殿が、必ず筆を入れると言う聖教新聞の七月三日付『寸鉄』欄に「『陰謀を企てた嫉妬深い連中を、私は征服した』作曲家ベツリーニ。日顕・山友も崩壊」「創価班・牙城会の大学校生よ、歴史を創れ。遠慮はいらぬ。皆が栄光のヒーロー」とあり、又、翌七月四日付の聖教新聞第一面に「秋谷前会長を中国方面最高参与と言う責任者とし広島を中心とする『中国最高会議』の新たな設置」等の記事が掲載されたことについて、私を気遣い精神的に支援してくださる信頼できる最高幹部クラスの複数の方々から「これらの体制は『裏切り者である福本殲滅』のために取られた体制であり、創価班・牙城会のメンバーは皆いきり立っている。身の安全に留意して欲しい」等との温かい言葉をいただいているが、そのとおりなのでしょうか。
質問六 今回の私の行動で私の元には多くの学会員からお電話やファックスが寄せられています。当然予期していたことではありますが、驚いたことにその半数近くは私に共鳴し、今の学会の体制を何とかして欲しいという激励のものでした。しかも副会長クラスの最高幹部の複数(二桁)の方々も、『確かに、おかしいと思うことでも池田名誉会長には逆らえない。福本はよくやった』と言うような激励とも取れるお言葉をいただいております。これこそが『全体主義』の証左であると思いますが、貴殿はどのようにお考えですか。
質問七 私達国会議員も貴殿の名誉称号二〇〇個授賞記念の折、記念品を半強制的に贈呈させられました。私は貴殿の『東京大学名誉教授』は取得できないことを申し上げましたが、こうした名誉称号を集めて誇示することは一般的に大変恥ずかしいことと考えられます。もうお止めになって欲しいと言う会員の声も少なからず聞こえております。
このような中、あえてこの名誉称号を誇示される名誉会長はどのようなお考えでこれらを集めて誇示されるのでしょうか。その意義について、これに参画した私も、参議院議員の立場から、多くの友人に説明する必要がありますので是非お聞かせください。
以上
平成十九年七月七日
参議院議員 福本潤一
だがこの「質問状」に対する池田氏からの回答はなく、返答期限直前の9日午前、創価学会の外郭警備会社である日光警備保障株式会社の第1事業本部長から、「このような不審かつ非礼な行為をもって届けられた封書につきましては、当社の業務上、これを創価学会に取り次ぐべきではないと思料いたしますので、ここにご返送申し上げます」と、福本氏の「公開質問書」を創価学会・池田氏側に渡さなかった旨の通知が福本事務所に届けられた。記者会見の席上、福本氏は「質問状に回答できないことから、警備担当者が渡さなかったとして処理したのだろうが、回答を避けるための措置であり姑息」と、回答を寄せなかった池田氏ならびに創価学会の姿勢を批判した。
公示翌日に「除名」を公表
この後、福本氏は広島に帰郷し、急きょ、参議院広島選挙区から出馬したが、その公示翌日の13日付「聖教新聞」中国版には、「福本潤一を『除名』処分」と題する愛媛県創価学会が10日に福本氏を除名したとの記事が掲載された。
だが創価学会の会員規程には、創価学会による会員の処分に不服のある場合は、処分通知が到着した日から7日以内に不服申請を申し立てることができることになっており、少なくともこの猶予期間を経過した後でなくては処分は決定しない。実際、福本氏の許に届けられた「創価学会愛媛県審査会 審査員長大西弘允」名義の通知書にも次のようにある。
「通知書
貴殿に対する処分申請について、当審査会において審査の結果、下記のとおり決定しましたので、通知します。
記
貴殿を創価学会から除名する。
(理由の要旨)
貴殿は、創刊以来、一貫して当会に対する誹謗中傷記事を掲載し続けている日蓮正宗の準機関紙『慧妙』平成19年7月1日号において、当会への批判・攻撃を目論む同宗に同調して、その取材を受け、かつ当会と公明党の『政教一致の実例』であるとして、当会への長文の批判文を談話形式で掲載せしめた。
上記行為は、当会会員規程第7条1項4号に該当する、会員としてあるまじき行為である。
この決定に不服がある場合は、この書面が到達した日から7日以内に、監正審査会に対する不服申立書を当会審査会あてに提出できます。
平成19年7月11日
愛媛県伊予郡砥部町高尾田275―1
創価学会愛媛文化会館内
創価学会愛媛県審査会
審査員長 大西弘允
東京都………… 福本潤一 殿」
7月11日付で発送された処分の「通知書」が福本氏の許に届くのは早くても12日。当然、処分の決定は19日以後となる。にもかかわらず手回しよく公示翌日に福本氏の「除名」を「聖教新聞」で発表したのは、福本氏に創価学会を除名となった「裏切り者」とのレッテルを貼り、福本氏に同調する学会員が出ないようにするための措置に他ならない。
この「福本潤一を『除名』処分」との記事は、7月13日付「聖教新聞」9面の地方版(中国版)の左下隅に掲載されたが、その面全体は「本門の池田門下の陣列」と題する「男子部特集」で、中国地方各県創価学会の男子部幹部が紹介されている。このうち福本氏が立候補した広島県の男子部の紹介記事の見出しは「断じて忘恩の輩を粉砕!」。そこにはこうある。
「今、大恩ある師匠と学会に仇なす忘恩の輩の跳梁に、正義の怒りが爆発している。阿修羅の如き『気迫の祈り』『正義の言論闘争』で、木っ端微塵に魔軍を粉砕してみせる」
ここで言う「大恩ある師匠と学会に仇なす忘恩の輩」が福本氏を指すことは明白だろう。ちなみに広島選挙区に立候補した福本氏に対しては、公営掲示板のポスターがカッターで切られるなどの嫌がらせが続いている。選挙戦さなかの7月21日の土曜日、福本氏は広島市内で最も繁華な商店街である本通りで街宣活動を行ったが、街宣車から降り徒歩で支援を呼びかける福本氏と支援者の姿を尾行し、ビデオで隠し撮りをしている黒ずくめの男の姿も確認されている。
福本氏は街頭演説で、平和の党を標榜する公明党が、いまや大量破壊兵器も核兵器もなく、誤りであったことが明白になっているイラク戦争を支持し、神崎武法代表(当時)や冬柴鉄三幹事長(同)が、自衛隊のイラク派遣のお先棒を担いだことを、「神崎代表が現場主義だといって、たった1時間半だけサマワに滞在し、サマワは安全であり非戦闘地域だとしたのは、支持母体である創価学会の言い訳のための行動に過ぎない」と厳しく批判。また広島・長崎への原爆投下を「しょうがない」と容認した久間発言を厳しく批判するとともに、安倍首相の任命責任や、その安倍政権を支える公明党そして創価学会の姿勢を追及している。
参議院選挙に立候補した福本氏に対する露骨な誹謗中傷・攻撃は、選挙妨害となることから控えているように見える創価学会・公明党だが、参議院選挙が終われば、竹入義勝元公明党委員長同様の激しい攻撃が繰り広げられるのは間違いない。福本氏の離党・除名から参院選選挙区への立候補と創価学会による除名と誹謗という一連の経過は、福本氏が指摘した創価学会・公明党の「全体主義的」で「アンチ・ヒューマニズム」な体質を色濃く映し出したといえるだろう。
乙骨正生(おっこつ・まさお)フリージャーナリスト。1955年生まれ。創価中学・創価大学法学部卒。宗教・政治・社会分野などを取材、週刊誌・月刊誌を中心に執筆。著書に『怪死』(教育資料出版会)『公明党=創価学会の野望』『公明党=創価学会の真実』(かもがわ出版)など。
投稿者 Forum21 : 2007年08月01日 20:50
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